“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ついに名古屋vs.岐阜が雌雄を決する!?
J2「名岐ダービー」という痺れる対戦。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byKazuhito Yamada,Kouichi Takamori/Kaz Photography
posted2017/03/09 11:00
おどけた表情でゴールアピールをする岐阜の田中パウロ淳一。岐阜のサポーターにとっては一生忘れられない1点となった。
あまりにも近すぎる……岐阜駅と名古屋駅の悲劇。
上京したての頃は、よく周りに「岐阜ってどこにあるの?」といちいち問い返されるので、いつからか「どこ出身なの?」と聞かれると、「名古屋の近くだよ」と答えるようにしていた。時には「名古屋だよ」とも……もはやそこにはプライドが微塵も無い。
だが「近く」という表現自体、実に適した表現なのである。
名古屋駅と岐阜駅は、各駅停車でわずか25分。新快速を使えば18分の距離にある。
車では、筆者が岐阜に住んでいた頃は国道22号線(通称「名岐バイパス」)を使って1時間程度だったが、今は都市高速道路が整備され、もっと短い時間で行くことが出来るようになっているのだ。
今までドラゴンズとグランパスを応援したが……。
プロスポーツの世界をみると、名古屋に本拠地を置く中日ドラゴンズの人気は凄まじく、愛知、岐阜、三重の「東海3県(※静岡も東海地区だが、テレビ局の配置においても、静岡を省いて東海3県で括られている)」での支持率は異常に高い。
ドラゴンズは年に1回は岐阜でホームゲームを開催し、岐阜の野球ファンはその日を心待ちにしている。と言っても、かつてのナゴヤ球場は岐阜から30分ほどで着くわけだし、ナゴヤドームも1時間もかからないからこそ、気軽に観に行くことも出来るのだが。
Jリーグにおいては、岐阜の人たちはグランパスの熱狂的なサポーターとなった。
当然、ドラゴンズと同様、前述した“東海3県”で唯一のJクラブがグランパスだったこともあるが、もしそれが三重県にあったら絶対に応援はしなかったはずだ。
これも「名古屋」だったからこそ、何のためらいも無く「地元のクラブ」として応援することが出来たのである。
チャントなどで「名古屋」の地名を叫ぶが、自分は岐阜県民――。
グランパス愛は本物だし、「赤だし」も「味噌カツ」も大好き(筆者も東京に住む人がカツをトンカツソースで食べること自体が信じられなかった)。夜は常にCBCラジオを聞き、デートは栄(名古屋市ナンバーワンの繁華街)か名駅周辺(名古屋駅のことをこちらでは「めいえき」と呼ぶ)だった。
だんだん書いていて切なくなってくる……。それほど岐阜県民にとって、愛知県、いや名古屋の存在はいろんな意味で大きなものなのだ。