プロ野球亭日乗BACK NUMBER
中日低迷は落合GMだけの責任か。
年俸削減に囚われた3年間の結末。
posted2016/12/23 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
中日の落合博満GMが任期満了により、来年1月いっぱいで退任することが明らかになった。
'13年オフの谷繁元信監督の就任と合わせて、そのバックアップ体制を整えるという名目で誕生したのが落合GMだった。
「現場が頑張っているのに、戦力を作れなければ全て私に責任がある」
こう語ってチーム再建に取り組んだが、その後3年連続でBクラスに低迷。今年8月に谷繁監督を事実上解任したことで、逆に落合GMの編成責任論が噴出し、球団ばかりか親会社の中日新聞社にも解任を要求する投書や脅迫まがいの文書が送られてくるようになっていた。そして球団創設80周年のメモリアルイヤーの最下位という結末に、最大の後ろ盾と言われた白井文吾オーナーも庇いきれなくなった。
「成果は別だが、やるべきことはやった」との声。
「(谷繁)監督が若いのでサポートが必要だと思った。ただ、社内外の問題もあるし、内部で批判している人もいた。長持ちはしないと思った」
退任が明らかになった12月20日に、改めて自宅前で取材に応じた白井オーナーは、落合体制の脆さ、難しさをこう語った。その一方で3年間のGMとしての手腕に関しては決して否定的ではない評価も下している。
「成果は出たか出ないかは別だが、やるべきことはやった」
実はこの言葉にこそ、落合GMを抜擢した白井オーナーの意図が見えてくるのである。
「やるべきことはやった」――この言葉は一体、何をさして発せられたのか?
それは就任1年目のオフから行ってきた選手の年俸削減、コストカットだったのである。
実は白井オーナーが落合元監督をGMに抜擢した大きな狙いの1つが、経費削減、特に高騰する選手の年俸をいかに抑制するかにあった。