プロ野球亭日乗BACK NUMBER
中日低迷は落合GMだけの責任か。
年俸削減に囚われた3年間の結末。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/12/23 11:00
今季途中からチームを率いた森繁和監督と落合氏。2000年代の中日を知る野球ファンにとって、今季の低迷は信じ難く感じただろう。
落合博満とは、やはり現場の男なのである。
そうして収益を得たら、それを補強や選手の年俸に転化することで、さらにチームの魅力を増幅させて、次の集客につなげていく。ただただ、コストカットでマイナスを減らすという中日の旧態依然の経営は、結果的にはチームの魅力、競争力を減らし、それが集客力の低下を招くという負のスパイラルを生むだけなのである。
もちろん白井オーナーが落合GMに託した責務は、「金をかけずにチームを強くする」ことだったはずだ。ただ、落合GMにとっては、今までのフロントができなかったコストカットこそ目に見える形で一番、オーナーにアピールできる実績で、それをオーナーが最も評価した。それが最大の使命となってしまったことが失敗だった。
スポーツビジネスに於いて、最大の鍵を握るのはチームの勝ち負けである。チームが強いこと、チームに魅力ある選手、キャラクターがあるからこそ、ファンは球場に足を運んでくれるのである。
「勝つことが最大のファンサービスだ」
落合監督のこの哲学は間違いではないし、その点では監督・落合は優秀だった。
だからこそ「やはり野に置け蓮華草」なのだ――落合博満とはやはり現場の男なのである。