サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
本田圭佑が窮地で得た新スタイル。
「試したいこと」の答えを聞いた。
posted2016/11/17 12:10
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Takuya Sugiyama
本田圭佑は、ある覚悟を持って今回の日本代表に合流した。
「試したいことがある」
いったい、何を試したいのか。そこには今後のプレーヤー・本田圭佑を左右する、ある変化とアプローチが存在していた。
本田に変化の必要性を強く再確認させたのが、先月のオーストラリア戦だった。
代表では約4年ぶりとなる1トップを任され、開始早々に原口元気のゴールをアシストした。ボールを受けた瞬間、眼前にいたDFのタイミングをずらすように1テンポ遅らせて出したスルーパス。DFの重心の傾きとは逆のコースを通り、原口にピタリと収まった。このたったワンプレーに、本田の“パサー”としての魅力が凝縮されていた。
20年ちかく培ってきた、真ん中での感覚。
「あれに関しては前日、いや前々日の練習かな。元気は俺がボールを持った時にいつも早く動き出す傾向があった。(香川)真司やキヨ(清武弘嗣)はその間合いで出すけど、俺はもう一個タメて出したいと伝えてあった。長年、こういう感じでプレーしてきたからね。幼少期から20年近くはこの感覚でやってきた。真ん中のポジションでね。ぶっつけ本番の真ん中でのプレーで、こういうプレーができたのは自分自身ホッとしている。
むしろ、サイドのポジションは腹くくってやっている。サイドやっていると、自分が下手になっているんじゃないかと思う時がある。サイドは仕掛けていくとか、ある意味ミス大前提のプレーが求められる。ただ、俺はいかにボールを奪われないか、いかに相手を引き出して、食いつかせてというプレーをしてきた。下手になってきたという自分の不安を、安心させる今日のプレーだった」
縦に速い攻撃が、ハリルジャパンの攻めにおける第一義。自ずと3トップの左右両サイドには、槍のように敵陣を突いていく縦方向へのスプリントが要求される。15日のサウジアラビア戦で、W杯アジア最終予選・4試合連続ゴールを決めた原口が見せたようなプレーが、その典型例だ。