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本田圭佑が窮地で得た新スタイル。
「試したいこと」の答えを聞いた。
 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/11/17 12:10

本田圭佑が窮地で得た新スタイル。「試したいこと」の答えを聞いた。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

中央に入ってくるのは本田圭佑の悪癖と言われている。しかし、彼が輝くのが中央であることも間違いないのだ。

きっかけは、ミランで献身性ゆえに任されたサイド。

 本田はザックジャパン時代のトップ下から一転、その後のアギーレジャパン、そして現在のハリルジャパンと、代表では一貫して右サイドアタッカーとして起用されている。

 ことの始まりは、ミランでのプレーが影響していた。

 '14-'15シーズンのチームを率いていたフィリッポ・インザーギ監督が、本田を初めて右のアタッカーとして起用した。その後'15-'16シーズンのシニシャ・ミハイロビッチ監督体制になっても、本田の定位置は右でほぼ固定された。特にミハイロビッチ監督は、本田の守備の献身性を買い、重宝していた。

 ミランでは、献身的なチームプレーを評価されてサイドの位置で起用されることが多い。そして、ハリルホジッチ監督もトップ下に香川や清武を置く一方、本田をミランと同様のポジションで使い続けてきた。「ミランでの役割よりも、よりゴールに向かって欲しい」と代表での差異を指揮官は語るが、サイドで上下動を求めるという点で、根本的な変化はない。

スピード不足という決定的な弱点を隠せる場所。

 しかし長年本田のプレーを見続けてきた日本人にとっては、代表で彼に求めてしまうのは献身性よりも、むしろ“違いを生む”プレーなのである。岡田ジャパンでは、最前線で力強さを発揮し、ザックジャパンではトップ下で攻撃にタメを作り、自らも積極的にゴール目掛けて足を振った。

 スピード不足という決定的な弱点を持つ本田が、そのウィークポイントを露わにすることなく活躍していたのは、彼がサイドではなく中央エリアでプレーしていたからだった。

 11日の親善試合・オマーン戦。先発出場した本田のプレーは、メディアや外部から酷評された。ハリルホジッチ監督のこんなコメントによって、さらに輪を掛けて批評が強まった。

「本田は試合のリズムが足りないと感じた。かなり経験がありここまで存在感を出してきたが、サウジアラビア戦を控え一番良いパフォーマンスの選手が誰かを把握しないといけない。誰を使うか、しっかり考えていきたい」

【次ページ】 酷評のオマーン戦、本田はあるトライをしていた。

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