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モウリーニョ・マンUに化学変化を。
130億円で帰還、ポグバの存在意義。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/08/18 08:00

モウリーニョ・マンUに化学変化を。130億円で帰還、ポグバの存在意義。<Number Web> photograph by Getty Images

プレミア開幕戦でポグバはベンチ入りしなかった。しかしその能力は赤い悪魔再建に不可欠なピースとなるはずだ。

「ポゼッションだけ」ファンハール政権からの脱却。

 モウリーニョの前任者ルイス・ファンハールのチームは、昨季「ポゼッションだけ」と非難された。圧倒的にボールを支配しても、得点、アシスト、枠内シュート、ドリブルなどに関する数字は軒並み平均レベルに終わっていた。プレシーズン中、「時間はかかるが変えなければ」と語っていた新監督が最も意識している問題点も、攻撃面での致命的な勢いのなさだろう。

 昨季FAカップ王者として出場した先の今季コミュニティー・シールドでも、昨季プレミア王者のレスターに勝ちはしたものの(2-1)、攻撃の迫力はいま一つどころか「いま二つ」。ズラタン・イブラヒモビッチが、大物新FWらしく終盤にヘディングで決勝ゴールを決めたが、得点前の82分間は1トップに見せ場の訪れない状態が続いた。

 モウリーニョが攻撃に“ドライブ感”を欲している様子は、「(アントニオ・)バレンシアは、今までなら中に切れ込んでからバックパスに終わっていた場面でクロスを上げていた」という、試合後のコメントからも窺える。

ルーニーらと比較しても遜色のないポグバの万能性。

 その活力を中盤にもたらす待望の新戦力がポグバだ。4度のセリエA優勝とEURO2016決勝進出を果たした過去4年間に、ユベントスと代表で計200試合を超す経験を積んだセンターハーフは、マンUの中盤に足りない要素の全てを長所として備えている。

 ポグバは昨季、セリエAで8ゴール12アシストを挙げた。これをルーニーと比較してみると、得点数こそ同じだが、アシスト数は2倍となっている。またシュート数もルーニーの平均2.6本に対して、ポグバが3.3本となっている。

 ルーニー以外の選手と比較しても、ポグバのオールラウンドな能力が見えてくる。平均2.9回のドリブル数は、「0.2」の僅差とはいえ前線のアントニー・マルシャルを凌いでいる。それでいて、守備面でも一試合当たり2.3回のタックルに成功。マンUのMFでは昨季最高だったシュネイデルランの2.4回と同等の数字を残している。これはモウリーニョにとっては見逃せない数値だったはずだ。

 モウリーニョがプレミアで作り上げた最強チームと言えば、2位マンUに8ポイント差で優勝を決めた2005-'06シーズンのチェルシーになるだろう。「マシン」とまで言われた強さの源は、一気の攻め上がりを可能にした3センターハーフだ。巧妙かつ狡猾なボールハンターのクロード・マケレレ、FW並みの得点感覚を持ったフランク・ランパード、規格外の馬力を持つマイケル・エッシェンが顔を揃えていた。ポグバは、彼ら3名の長所を一身に備えるMFだと言える。

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