フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュアにもドーピングはあるの!?
五輪スキャンダルで揺れるロシア。
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田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2016/07/24 08:00
![フィギュアにもドーピングはあるの!?五輪スキャンダルで揺れるロシア。<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/b/700/img_3b8b9fb67691cc6473137b83e2727ac3186611.jpg)
フィギュアスケート王国の名を世界に知らしめた、ソチ五輪の時の団体戦金メダル。不正は無かったと信じたい。
ではドーピングすればスケーターは助かるのか?
フィギュアスケートでドーピングの問題がほとんどなかったのは、そもそもこの競技において興奮剤というものが、助けになることがあまりないという事実もある。
体操の日本代表、内村航平はリオ五輪に出発する会見でドーピングについての見解を聞かれ、「興奮剤でつり輪の技術が上がることはない」と語っているが、同じことがフィギュアスケートにも言えるだろう。
繊細なスケーティング技術や音楽表現、ジャンプやスピンに求められる正確なエッジ使いなど、興奮して馬力が出たから技術が上がるものではない。
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だがその一方で、すでに技術のある選手がプログラム後半のスタミナ不足を補うため、ドーピングが助けになるという可能性が無いとは言い切れない。
こればかりは、選手本人たちに聞いてみないとわからないことだ。
タス通信社によると、エフゲニー・プルシェンコは「私、エフゲニー・プルシェンコはこれまで薬物使用などしたことがなく、常にフェアに戦ってきたことを誓う」とコメント。「ソチ五輪ではロシアは史上最高の結果を出したことは誰でも知っている。このキャンペーンをはじめたライバル国たちは、悔しさにかられて嫉妬に燃えているのだろう」と語ったという。
注目される、今後のIOCの対応。
WADAの出した報告を受けて、IOCが今後どこまでこの問題を掘り下げていくことになるのか、世界中が注目している。
ドーピングに関して「どのような厳しい制裁もためらわない」と発言したトマス・バッハIOC会長。「(この調査結果は)まだほんの表層を引っかいただけ」と主張する調査チームのマクラーレン委員長に対し、「今後も調査を続行し、個人を特定していくこと」をIOCから要請した。
もし今後ドーピング違反選手の個人名が発表され、その中にソチ五輪のメダリストが含まれるのなら、当然メダルは剥奪となるだろう。
だがプーチン大統領は当初から、現在米国に亡命している告発者のロドチェンコフ氏は「評判が悪い人物」と批判してきた。万が一、ロシア選手のソチ五輪メダル剥奪のような事態となれば、ロシアは猛烈に反発してくることは間違いない。
大国ロシアに対してIOCがどこまで強く出ていくのか、また新理事長を迎えたばかりの国際スケート連盟(ISU)が今後どのように対応していくのか、注目されるところである。
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