フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュアにもドーピングはあるの!?
五輪スキャンダルで揺れるロシア。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2016/07/24 08:00
フィギュアスケート王国の名を世界に知らしめた、ソチ五輪の時の団体戦金メダル。不正は無かったと信じたい。
ソチ五輪でロシアが獲得した33個のメダル。
ソチ五輪で、ロシアは合計33個のメダルを獲得している。
フィギュアスケートでも団体戦で金、さらにペアで金と銀、女子で金、アイスダンスで銅と素晴らしい成績を収めた。
団体戦とペアの金は予め予想されていたことだったが、女子の金やペアの銀、アイスダンスなどサプライズメダルもあった。
現在のところ、ソチ五輪でドーピングをした個々の選手の名前は発表されていない。
だが「マクラーレンレポート」の中では、2012年ロンドン五輪と2014年ソチ五輪、そしてその間の各種世界選手権を含む2011年からの国際大会で、少なくても577人の(ロシア選手を含む)選手たちに疑惑があり、その中の312人分の陽性反応の検体が隠蔽され、そのうちスケーターは24人いる、と報告されている。
ちなみにスケーターとは、スピード、ショートトラック、フィギュアスケート全てを含んでいるので、この中にフィギュアスケーターが含まれているのかどうかは、現時点ではわからない。
フィギュアではほぼ皆無だったドーピングスキャンダル。
これまでフィギュアスケートにおいて、ドーピングが大きなスキャンダルになったことはほとんどない。
2000年にロシアのペアスケーター、エレナ・ベレジナヤがドーピング陽性となり、欧州選手権のタイトルを剥奪され、3カ月の競技出場停止処分を受けたことがある。だがこれは当時トレーニング拠点だった米国ニュージャージー州の医師に処方された、気管支炎の薬が原因だったとされている。
2007年にはやはりロシアのペアスケーター、ユーリ・ラリオノフがドーピング陽性となり、18カ月の出場停止処分を受けた。このときは、本人が服用したダイエットピルが原因と報道された。今年の春には、ロシアのアイスダンサー、エカテリナ・ボブロワがドーピング陽性を理由に、ボストン世界選手権に出場できなかった。
検出されたのはシャラポワと同じメルドニウムで、本人は胸の痛みの治療として禁止物質とは知らずに服用していたという。ちなみにボブロワはソチ五輪にも出場し、団体戦金に貢献した選手である。
いずれも故意より不注意による結果と思われ、他の競技に比べるとフィギュアスケーターのドーピングが問題視されてきたことは、過去にはなかった。