フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュアにもドーピングはあるの!?
五輪スキャンダルで揺れるロシア。
posted2016/07/24 08:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
7月18日、世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査チームは、2014年ソチ冬季五輪でロシアが国家の主導で組織的にドーピングを行い、隠蔽(いんぺい)していたと結論づける報告書を発表した。
調査チームの委員長の名前をとって通称「マクラーレンレポート」と呼ばれるこの報告書によると、ソチ五輪ではスポーツ省の指示により、分析機関がドーピングをしたロシア選手の検査サンプルをすり替えるなどの組織的な隠蔽作業を行っていたという。
この報告を受け、現在国際オリンピック委員会(IOC)は、リオ夏季五輪からロシアの選手全員を締め出すかどうか、厳しい選択に迫られている。
ロシア代表選手の五輪ペア女王、ロドニナの見解。
このスキャンダルは、ソチ五輪でドーピング検査機関の所長を務めたグレゴリー・ロドチェンコフの告発を発端として、発覚した。
タス通信社によると、フィギュアスケートのペアで五輪金メダルを過去に3度獲得したロシアのイリナ・ロドニナは、「ロシアには外部から多大なプレッシャーがかけられている。このマクラーレンレポートは巧妙にタイミングをはかって、故意にリオ五輪の直前に発表された」とコメントした。これまでもよくあった、外部からのロシアをターゲットにした攻撃であると主張する。
だがファンにとってもっとも気になるのは、実際にソチ五輪でどのくらいのドーピング違反があったのか。特にフィギュアスケート選手たちもドーピングに関わっていたのかどうか、ということではないだろうか。
ソチ五輪に向けた強化に国全体をかけていたロシア。
2010年バンクーバー冬季五輪の結果は、ロシアにとって屈辱的だった。
全メダル獲得数は15個だったが、金はわずか3個。全体の国別メダル獲得ランキングで11位と、トップ10にも入らなかったのである。
フィギュアスケートでは金メダルに届かず、男子(エフゲニー・プルシェンコ)の銀メダル、アイスダンス(ドムニナ&シャバリン)の銅メダルのみに終わった。
その4年前の2006年トリノ五輪では、4種目中3種目でロシアが金メダルを獲得するという強さを見せていたのに、わずか4年でこの衰退振りはロシアにとってショックだったに違いない。
バンクーバー五輪後、プーチン大統領の肝いりで、国家事業としてソチ五輪に向けての強化政策がとられて来たことは何度も報道されてきた。
だがこれが国をあげてのドーピング隠蔽だったとは、前代未聞の不祥事である。