サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ピッチ上での“緊急会議”から5連発。
アフガン戦大勝は結果&テストの両得。
posted2016/03/25 11:40
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Asami Enomoto
絶対に負けられない戦いが、そこにはある。
たとえ相手が格下の2次予選でも、W杯出場を懸けたアジア予選。決して勝ち点の取りこぼしは許されない。内容がどうであれ、確実に勝利を目指すべきだ。まさかのスコアレスドローに終わったシンガポールとの初戦を思い出してみなさいよ、と。これは正論。
絶対に試しておくべきことが、そこにはある。
たとえ日本がアジアの中で強国であったとしても、この先に控える最終予選を1つの戦い方(システム)で勝ち抜くことは難しい。相手が明らかに格下なのであれば、困ったときのオプションとなる形をテストしておくべきだ。国際Aマッチデーの日数は限られているのだから、公式戦であろうが親善試合であろうが、関係ない。これも正論。
理想と現実。メリットとリスク。これらを天秤にかけた上で、3月24日、FIFAランク151位のアフガニスタン戦(日本は56位)でハリルホジッチ監督が優先したのは「絶対に試しておくべきこと」だった。
「監督というものは、時々スペシャルな考え方をする」
「監督というものは、時々スペシャルな考え方をする。なぜ(この試合で新たな形をテストした)かというと、まずは日本の選手たちが、相手と比べて十分なクオリティがあると判断した。もちろん相手をリスペクトしてはいるが、それでも何かトライはできると思った。
もっと強い相手だったら、トライすべきだったかどうかは分からない。親善試合だったらどうか。それはイエスだが、2次予選で愚かなことはできない。私は(初戦の)シンガポール戦を忘れていないし、選手たちにも繰り返し伝えてきた。とにかく、こういった機会で試してみたかった。2~3人の選手が遅れて合流してきたため、彼らをプレーさせるリスクなど、いろいろな要素も含めて考えた。原口(元気)を少し真ん中気味で使ったのも新しい試みだ。柏木(陽介)を少し前めにして、2人のFWを同時に起用して、いろいろなことにトライしてみた。これでグループ(選択肢)が豊富になる。監督として、すべての可能性をトライしておかないといけない」