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ピッチ上での“緊急会議”から5連発。
アフガン戦大勝は結果&テストの両得。 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byAsami Enomoto

posted2016/03/25 11:40

ピッチ上での“緊急会議”から5連発。アフガン戦大勝は結果&テストの両得。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

「今Jリーグで最も危険なストライカー」との声もあがる金崎夢生。クラブでも2トップの形が多く、理解度は高い。

引いて守る相手を攻略するための4-4-2。

 この試合で日本が採用したシステムは、いつもの4-2-3-1ではなく、中盤がダイヤモンド型の4-4-2(アンカーに長谷部誠、インサイドハーフに原口と柏木、トップ下に清武弘嗣が入る形)だった。さらに、サイドバックの酒井宏樹と長友佑都が高い位置に張り出し、中盤を6枚に近い形にすることを試みた。

 これは明らかに、引いて守りを固める相手を攻略するためのテストだ。アフガニスタンのシステムは4-4-1-1。日本は酒井宏と長友を含めた6枚の中盤で数的優位(アフガニスタンは中盤4枚)を保ち、さらに2トップにすることで相手センターバックとゴール前で1対1の状況をつくり出し、個人能力での優位性で突破を試みるプランだった。

 机上の理論であれば、有効な手段に見える。ところが前半、日本の選手たちは明らかに“困惑”していた。思うようにパスが回らず、ボールを受けてもフリーの選手を見つけられないから、タッチ数が増えてリズムが出ない。その要因を長谷部はこう語る。

「試合前に想定していたより、相手が前に出てきた。マンマーク気味に守られて、なかなかマークを外せなかった」

困った状況ならば、相談しよう。そうしよう。

 アフガニスタンはサイドハーフが中に絞って柏木と原口を監視し、サイドバックは前に出て酒井宏と長友との距離を詰める。6対4であるはずの中盤は、6対6に。試合前にハリルホジッチ監督からホワイトボード上で説明された状況とは異なる形となった。これは困った。どうしよう。

 昨年6月のシンガポール戦の頃ならば、日本は解決策を見つけられないまま無得点でハーフタイムを迎えたかもしれない。しかし、今回は違った。困った状況ならば、相談しよう。そうしよう。

 28分、日本の選手たちは相手が治療を受けている間に選手全員がピッチ中央に集合し、“緊急会議”を開いた。

「きれいにパスを回そうとばかりするよりは、まずはロングボールで相手の裏を狙ったり、サイドの選手(原口、柏木)が外に張ってもいいと話し合った。監督もピッチ上では臨機応変にやっていいと話しているから」(長谷部)

【次ページ】 相手DFと1対1になる2トップのメリット。

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