プロ野球亭日乗BACK NUMBER
堤GM「今年は外国人選手で勝って」
巨人、世代交代の過渡期はこう凌ぐ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/23 18:00
守備には若干の不安が残るが、長打力は本物。ジョーンズは昨季貧打に苦しんだ巨人の救世主となれるか。
大谷のフォークにバットが止まる、ということ。
オープン戦で注目する打席があった。
3月2日の日本ハム戦で、先発の大谷翔平投手に第1打席は追い込まれてからのフォークに空振りして三振に倒れた。そして第2打席。2ストライクと追い込んだ大谷が、同じように低めにフォークを落としてきたが、前の打席の配球をインプットしていたギャレットは、今度はしっかりバットが止まった。結果的には連投できた次のフォークで空振り三振に倒れたが、それでもまず1つ、考えて打席に立っていることが見えた1球だった。
フォークだけでなく、左打者が苦手にする右投手の膝元付近のスライダーや外角のボールゾーンに流れるツーシーム系の球にも、だんだんとバットが止まるようになってきている。その結果、オープン戦では53打数で、三振は一桁の8個止まりで四球が5つ。打率は2割8分3厘、本塁打2本ながら出塁率は3割5分6厘と進化が見えているのだ。
ギャレットが高い出塁率を稼げば、次を打つもう一人の外国人選手のクルーズの特性が生かせるという利点も生まれる。
「クルーズの1番の特徴は勝負強さ。昨年はロッテで打率2割5分5厘なのに、打点が73もあった。この数字は去年のウチの打線でいえば打点王ですからね」(堤GM)
昨年は8人試した4番に今年はギャレットを固定?
ギャレットの出塁率が上がれば、勝負強さが売りのクルーズに自然とチャンスが回る。
逆に後ろに勝負強いクルーズがいることで相手バッテリーがムリしてギャレットと勝負にいけば、甘くなる場面も出てくる。その失投をいかに逃さず打てるか。そこがこのコンビの成否を分けるカギというわけだ。
「彼(ギャレット)が4番に固定できれば、それは一つの理想ですね。オーダーも組みやすいし、固定できるということは打線の安定感も出るということですから」
高橋監督は言う。
昨年の巨人は、4番を打った打者が阿部慎之助内野手の53試合を筆頭に全部で8人もいた。それが即、打線の不安定さの象徴だったが、ギャレットが4番で機能するということは打線の得点力が確実に上がるということになる。そうなれば優勝への道が開けるとともに若手のチャンスも大きく広がることを意味する。
外国人助っ人という触媒には、チームに化学反応を起こさせる力があるということだ。