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堤GM「今年は外国人選手で勝って」
巨人、世代交代の過渡期はこう凌ぐ!
posted2016/03/23 18:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
理想と現実は相反する。
世の中ではだいたいそう相場は決まっているのに、野球ファンに限っていえば、その相反する2つを求めるのが当たり前だからやっかいなものである。
選手を育てることと勝つこと――メジャーでは2つをきっちり分けてチーム作りをするのが主流だが、日本の場合はなかなかそこまで割り切れないのが現実だ。
強いて挙げれば日本ハムや広島が、そういう割り切りでチーム作りを行なっている一方で、対極にいるのが巨人ではないだろうか。
ここ数年は、主力選手の高齢化と中軸選手の伸び悩みからチーム力の低下が叫ばれている。特に若手野手の育成は数年来の大きなテーマだが、その一方で思い切った切り替えができないのも、まずは優勝という至上命令があるからだ。
もちろん期待の若手がいないわけではない。
ここ3、4年では大田泰示外野手や2年目の岡本和真内野手、和田恋内野手に昨年のドラフト2位で獲得した重信慎之介外野手と、能力値の高い若手野手は確かにいる。
ただこうした選手をムリにでも使って育てて2、3年後に勝負を、というわけにはなかなかいかない。
まず目の前の試合が優先され理想は理想のままで置き去りにされる。
それが巨人の現実なのである。
「今年は外国人選手で凌いで勝って欲しい」
ただ、その理想と現実をつなげる触媒がないかといえば、まったくないわけでもない。
「今年は何とか外国人選手で凌いで勝って欲しい」
1月に、編成の責任者である堤辰佳GMをインタビューしたときの言葉である。
昨オフはFAで西武から脇谷亮太内野手を出戻り獲得したぐらいで、大きな国内補強は行なわなかった。代わりに獲ってきたのが、前ニューヨーク・ヤンキースのギャレット・ジョーンズ外野手と、昨年までロッテでプレーしていたルイス・クルーズ内野手という2人の外国人選手だった。
はっきり言おう。
今年、巨人が優勝争いをできるかどうかも、そしてその中で若手選手の育成という二律背反するテーマを実行できるかどうかも、この2人の助っ人の成否にかかっている。