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“大谷以外”で鍵になる投手は?
日ハム高梨裕稔が二軍からやってくる。
posted2016/03/23 10:40
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
NIKKAN SPORTS
このオフも、ファイターズ情報は大谷翔平づくしだった。
イベントごとの好きな栗山英樹監督は、背番号にちなんだ昨年の11時11分に続き、2月22日2時22分22秒に「2年連続の開幕投手宣言」を敢行。
8つも並んだ「2」は、もちろん「二刀流」に掛かっている。球界を驚かせた壮大な挑戦が、入団4年目にしてついに完成を見る、というシナリオだ。
覇権奪回は大谷の活躍次第。だがもちろん、ファイターズは大谷ひとりのチームではない。
2004年の北海道移転以来、ファイターズは新庄剛志、ダルビッシュ有といったスーパースターを擁してきた。だがAクラスの常連となった背景には二軍の本拠地、鎌ケ谷の育成力がある。
かつては森本稀哲、鶴岡慎也、小谷野栄一、現チームでは田中賢介や中島卓也が代表格だろう。
満を持して送り出される二軍叩き上げ。
大胆な若返りが進んだことで近年、いわゆる二軍からの叩き上げと呼べる選手は減りつつある。
だが今年、鎌ケ谷は満を持して大器を北海道に送り出すことになった。高梨裕稔、24歳の大型右腕だ。
千葉県立土気高校から山梨学院大学を経て2013年、ドラフト4位で入団。大学時代は関甲新リーグで最多勝に輝いたが、中央球界では無名の存在。それが昨季、イースタン11勝、奪三振王に輝き、入団3年目にして先発ローテの一角に食い込もうとしている。
すでに高梨は一軍公式戦デビューを飾っている。それは昨年5月3日、敵地QVCでの千葉ロッテマリーンズ戦だった。
千葉県出身の高梨にとって、QVCは地元のようなもの。だが、アウェー感満載の登板となった。
というのも、予告先発の大谷が足の違和感を訴えて登板を回避。そのことで巡ってきたマウンドだったからだ。ゴールデンウィークの真っ只中、高梨は大谷目当ての大観衆の中で投げることになった。