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広島、緒方体制2年目は強烈な逆風。
サンフレッチェに学ぶ「3本の矢」。
posted2016/01/28 10:30
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
NIKKAN SPORTS
春季キャンプを目前に控えた緒方広島の2年目は、昨年の今ごろとまったく違う風が吹いている。
昨春は、前年優勝争いをしたチームに黒田博樹や新井貴浩が復帰。注目度も期待もうなぎ上りで猛烈な追い風が吹いていた。しかし、シーズンに入ると風に乗ることができず低空飛行を続け、最終的には3年ぶりBクラスでシーズンを終えた。
今年、ファンの声は厳しくなっている。さらにエースの前田健太が、ポスティング制度を利用して米大リーグへ移籍。強烈な逆風を受けながらの船出となりそうだ。キャンプ前に行なわれたスタッフ会議後、緒方孝市監督は「開幕ダッシュ」を目標に掲げた。好スタートで風向きを変えたい――。そこには昨季と同じ轍は踏まないという強い覚悟が感じられる。
終盤まで響いた、出遅れと7連敗。
就任1年目の昨季、開幕を迎えてもチームは完成形に至っていなかった。まだ前年のチームに新しい力を注いでいく段階で、シーズンを戦いながらチーム力を上げていくしかなかった。しかし、開幕4戦目からよもやの7連敗。育てながら勝つ舵取りは困難となり、借金完済に追われた。
その間チームを支配したのは負けられない使命感と重圧。10月7日、シーズン最終戦に敗れて4位に終わったが、広島はシーズン序盤から最後まで「負けられない戦い」を強いられた。
7連敗は、チームづくりの遅れが招いたようなものだ。開幕1番に抜擢した鈴木誠也を2試合で見切り、遊撃のレギュラーと期待した田中広輔も開幕2戦目でスタメンから外した。しかし彼らに代わって出場した選手がミスを犯す負の連鎖。先発大瀬良大地のつまずきにもつながった。
負傷離脱者がいたとはいえ、開幕からスタメンを固定できない試合が5月まで続いたのもいただけない。主力選手だけでなく、代走守備固めの切り札として欠かせない赤松真人を6月5日まで一軍に招集せずに若手の成長を待った。だが、起用方針を変えた6月以降に勝ち越した数字を見れば、チームづくりが後手に回った影響は少なからずあったと言わざるを得ない。