球体とリズムBACK NUMBER
あまりに惜しい強豪同士の潰し合い。
欧州CL16強で、あのチームが消える!?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byAFLO
posted2015/12/15 12:00
スイスで行われたCL決勝トーナメントの抽選会。ビッグクラブが潰し合う組み合わせは展開にどんな影響を与えるか。
ローマの監督が認めるレアルとの戦力差。
ローマ対レアル・マドリー(第1戦:2月17日、第2戦:3月8日)
「レアル・マドリーが有利だ」とローマのルディ・ガルシア監督が認める通り、両者の実力には歴然とした差がある。
5勝1分・19得点3失点とほぼ完璧な成績で首位通過したマドリーは、このGSで多くの記録を樹立した。クリスティアーノ・ロナウドはGSにおける自身の最多得点記録を11に更新し、6節マルメ戦の8-0の大勝は大会最多得点差タイ記録となった上、1試合で2選手が3得点以上をマークしたのも史上初(ロナウドとカリム・ベンゼマ)。ケイロル・ナバスのCLデビューから6試合連続無失点も新記録だ(継続中)。面白みに欠けると批判されたりもするラファエル・ベニテス監督だが、カップ戦の強さは折り紙付き。ここで姿を消すことは想像しにくい。
かたや、ローマは不名誉な記録がいくつか。勝ち点6でのグループ突破は最少タイとなり、16失点は勝ち抜けたチームで歴代最多。3節レバークーゼン戦では2点差を守れず4-4で引き分け、5節ではバルサに1-6と叩きのめされている。ミラレム・ピアニッチのFKや、アレッサンドロ・フロレンツィの超ロングシュートなどスペクタクルなシーンは提供したが、安定感を欠く守備陣が白い巨人の猛攻をしのげるとは、ちょっと思えない。直近の対戦の'07-'08ラウンド16で勝ち上がった記憶だけが頼りに。
ディナモに警戒をゆるめないマンC。
ディナモ・キエフ対マンチェスター・シティ(第1戦:2月24日、第2戦:3月15日)
CLでは初めて顔を合わせる両チーム。現在のクラブの規模ではシティがひときわ優るが、「簡単にはいかない」とフットボール・ディレクターのチキ・ベギリスタインは気を引き締める。今季はリーグ戦のスタートダッシュに成功したものの、9月中旬以降は結果と内容が安定せず、クラブ史上初のCLグループ首位通過も最終節の勝利で決めた。フィットネスに問題を抱える主将バンサン・コンパニが不在がちな守備陣は、容易く失点することもあり、ラヒーム・スターリングやケビン・デブライネら若き新戦力が躍動する攻撃陣の成果を無にしかねない。
'90年代にアンドリー・シェフチェンコと共に欧州を席巻したセルゲイ・レブロフ監督に率いられ、最長記録となっていた10季連続のGS敗退に終止符を打ったディナモ。最終節ではきっちりと勝利を収め、自らの手で2位フィニッシュを果たした。突破力に優れたアンドリー・ヤルモレンコとデルリス・ゴンサレスの両翼、最終ラインをまとめ上げるアレクサンダル・ドラゴビッチなど粒ぞろいのタレントを擁するが、長いウィンターブレイク明けの初戦がCLとなるスケジュールに不安も。