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あまりに惜しい強豪同士の潰し合い。
欧州CL16強で、あのチームが消える!? 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2015/12/15 12:00

あまりに惜しい強豪同士の潰し合い。欧州CL16強で、あのチームが消える!?<Number Web> photograph by AFLO

スイスで行われたCL決勝トーナメントの抽選会。ビッグクラブが潰し合う組み合わせは展開にどんな影響を与えるか。

バルセロナに対し主力離脱のアーセナルは望み薄か。

アーセナル対バルセロナ(第1戦:2月23日、第2戦:3月16日)

 '05-'06決勝、'09-'10準々決勝、'10-'11ラウンド16で対戦してきた両チームが再び顔を合わせる。そのすべてで勝者となったバルサは、現在サッカー史上最強とも言える3トップを有した昨季覇者であり、今回も勝ち抜けに近い。年明けからアルダ・トゥランら新戦力を起用できるようになり、9月下旬から11月上旬までリオネル・メッシ不在でも勝ち続けたチームに死角を見いだすのは難しい。あえて言うなら、時折見せるカウンターへの対応の脆さと、クラブワールドカップを含む過密日程くらいか。

 連敗スタートに加えて、バイエルンには1-5と大敗しながらも最後の2試合をどちらも3-0でモノにして、逆転で突破を果たしたアーセナル。序盤戦は厳しく批判されていたオリビエ・ジルーやメスト・エジルが調子を取り戻し、プレミアでは首位争いを演じている。だが、アレクシス・サンチェスやフランシス・コクランなど主力が軒並み負傷離脱しており、後半戦には不安が募る。絶対王者を前にして、手落ちの状態では、勝ち目は薄いと言うほかない。

PSGとチェルシー、3季連続の顔合わせ。

パリ・サンジェルマン対チェルシー(第1戦:2月16日、第2戦:3月9日)

 アラブとロシアの大富豪が実権を握る金満クラブ同士の対決は3シーズン連続に。'13-'14準々決勝はチェルシー、'14-'15ラウンド16はPSGが、どちらもアウェーゴール差で勝ち上った。

 クラブの格では欧州制覇の実績を持つチェルシーが上だが、今季の国内では不甲斐ない戦いが続いており、昨季プレミア王者の姿は見る影もない。それでもCLでは手堅く勝ち点を積み重ね、難敵と同居したグループを首位通過。ディナモ・キエフ戦では、解任を囁かれていたジョゼ・モウリーニョ監督が、ファンの声援に涙ぐむシーンもあった。最後の2試合を無失点で切り抜けるなど、守備は改善傾向にあるが、ウィリアンのFKに頼りきりの攻撃陣には奮起が求められる。

 財力だけでなく真の格を身につけるため、PSGにはCLのタイトルが必要だ。今季のグループステージ(GS)ではその決意を示し、破壊的な攻撃力を備えるレアル・マドリーと同じ組に入りながら、6試合で1失点と驚異的な堅守を披露。守護神ケビン・トラップとアンヘル・ディマリアの新戦力がすぐさまフィットし、王様ズラタン・イブラヒモビッチは30代半ばにして絶大な存在感をあらためて誇示している。国内ではすでに後続に17ポイントもの差をつけて盤石の態勢を築くPSGが、欧州における鬼門のベスト8を今季こそ超えるか。

【次ページ】 ローマの監督が認めるレアルとの戦力差。

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