野球クロスロードBACK NUMBER
不調時の変わらぬ練習が貯金を作る。
山田&柳田、トリプルスリーの必然。
posted2015/12/08 10:40
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
「トリプルスリー」が今年の流行語大賞に選ばれた。
打率3割、30本塁打、30盗塁。野球界やファンの間では当然のように知られている言葉だが、一般的に認知されているかと言えば必ずしもそうではない。「トリプルスリー」が数ある流行語の候補のなかから選ばれたのは、野球が日本を代表するスポーツであり、なおかつ、過去8人しか達成していない偉業を同時に2人も成し遂げたからだろう。
プロ野球が現在の2リーグ制となった1950年。松竹ロビンスの岩本義行(3割1分9厘、39本塁打、34盗塁)と毎日オリオンズの別当薫(3割3分5厘、43本、34盗塁)が記録して以来、実に65年ぶりの快挙に肩を並べたのが、ヤクルトの山田哲人とソフトバンクの柳田悠岐だ。しかも両者はリーグMVPにも選ばれるなど、今年のプロ野球を象徴する存在となった。
3割をほぼ切らなかった安定感は、練習あってこそ。
最初にトリプルスリーに到達した山田は、3割2分9厘、38本塁打、34盗塁、本塁打王と盗塁王のタイトルも手にした。柳田も3割6分3厘、34本塁打、32盗塁、首位打者に輝くなど圧巻の成績を残した。山田は7月から3カ月連続、柳田は8月から2カ月連続で月間MVPを受賞。3割を切った月はともに1度しかなかったことからも、彼らがいかに安定したパフォーマンスを維持し続けてきたのかも理解することができる。
山田は昨季、右打者では歴代最多となる193安打を記録し大ブレーク。柳田にしても自身初の3割をマークし、チーム不動のレギュラーとなった。その背景を踏まえれば、今季の飛躍は想定内なのかもしれないが、彼らがこれほどまでの数字を残せたのにはれっきとした理由がある。
「貯金」
これこそが、山田と柳田の好成績を生む源となっていたのだ。
それは、「日々の積み重ね」とも置き換えられる。山田に関して言えば、あまりにも有名な話である。