箱根駅伝2016BACK NUMBER
箱根駅伝はいつもと様子が違う?
変化を読み解く2つのキーワード。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2015/12/18 07:00
トップで全日本大学駅伝のゴールを切った東洋大の上村和生。ダントツの実力を持つ青学をかわして優勝を決めた。
今回の箱根駅伝、2つのキーワード。
東洋大にすれば、そこに付け入る隙があった。初めて全日本を制した酒井俊幸監督は話す。
「たしかに青学さんは速いですよ。でも、それで諦めるわけにはいきませんからね。『駅伝力』というものは、スピードだけでは測れないものがあります。全日本ではウチが粘り強い走りを見せることが出来ました」
いろいろ話を聞いたうえで、今回のキーワードとして挙がってきたものがふたつある。
「高速順応」。
そしてもうひとつは――。
「復路勝負」。
箱根駅伝きっての知性派監督、神奈川大学の大後栄治監督は、今回の箱根をこう予想している。
予測が可能であれば、対応も可能。
「スピードあるランナーがたくさん出てきました。学生陸上界としても喜ばしいことです。1区から3区まではスピードレースになるでしょう。でも、どの学校もその予測のもとに準備してきましたから、1区、2区では大きな差がつかないかもしれない」
過去にはこんなこともあった。2011年の大会では早大の大迫傑が1区で飛び出して大きな貯金を作った。しかし翌年は、大迫に対応した各ランナーが逃亡を許さなかった。
これが「高速順応」だ。
前回の1区は、各大学の有力選手が集まりハイレベルな展開となったが、シード権争いを展開する学校も健闘を見せた。
予測が可能であれば、対応も可能なのだ。
大後監督の予測では、それが1区から2区、展開によっては「山」まで続く。
「優勝を狙うチームは逃げたいでしょうが、そうはさせないと思いますよ。ひょっとしたら、6区までダンゴという可能性だってある」
そこで出てくるのが「復路勝負」というキーワードだ。