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大迫勇也、“確信”の開幕戦ゴール。
内田「フンテラールみたいだもん」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/22 10:40
ドイツ挑戦3季目となった大迫勇也。ポストプレーという最大の武器で周囲を納得させたが、FWとしてはやはりゴールの数も重要なだけに、開幕戦ゴールは大きなアピールとなった。
辛らつだったメディアもベストイレブンに選ぶほどに。
自分のなかでも、そして周囲にもその存在がチームの中で変わったと明らかになったのは、4月12日のホッフェンハイム戦だろう。
キックオフ直後からパスコースに顔を出し、ボールをもらえばどんどんペナルティエリアへ仕掛けて行った。シュートがゴールをかすめたシーンもあれば、相手からラフなタックルを受けるシーンも続いた。前半19分には早くもPKを獲得して、そこからチームに先制点をもたらすと、後半9分にもウジャのゴールをアシスト。EL出場権獲得のために高いモチベーションを持った相手を3-2で返り討ちにした。
「ずっと良い感じで出来ているというイメージがあって、そのイメージを持ちつつ、攻撃のほうで上手くパワーをつかえているかなと思います。地道に、地道に積み重ねているので。試合に出られないときに、何をすべきかを考えながらずっとやってきていたんで」
大迫もはっきりと手ごたえをのぞかせた。
何より、それまで辛らつな評価を続けてきた地元メディアもようやく、大迫のプレーを賞賛し始めた。例えば、『キッカー』誌は「ハリケーン・オオサコ」のタイトルで特集記事を組み、「オオサコは常にパスを受けられる状態にあり、すべての攻撃に彼は関与していた」との注釈をつけてホッフェンハイム戦のマンオブザマッチだけではなく、この週のベストイレブンにも大迫を選んだ。
シーズン3ゴールはプロ入り1年目以来だったが……。
結果を重視する国のメディアが、ゴールを決めなかったフォワードの選手をマンオブザマッチやベストイレブンにノミネートするのは珍しい。それでも彼が選ばれたのは、攻撃の中心にいることが一目でわかったからだ。
そして、チームが目標だった残留を既に決めたあと、来季に良い形でつなげるためにも多少は強引にでもゴールを狙いたいと話していたシーズン最終戦では、しっかりとゴールを決めて締めくくった。
そんなケルンでの最初のシーズンは、試合に出られないだけではなく、ベンチ入りのメンバーからも外れたことがあった。シーズンで3ゴールに終わったのは、鹿島でプロ入り1年目の2009年シーズン以来のことだった。
「大変といえば大変だったけどね。でも、充実感を感じられるようにしていたから。日々の練習の積み重ねのなかで、チームのやり方に慣れていっているなという実感はあったし、そういう楽しさもあった。辛い中にもね。もちろん、こういうのは初めてだったし、あんまり経験しない方がいいけど(笑)」