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大迫勇也、“確信”の開幕戦ゴール。
内田「フンテラールみたいだもん」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/22 10:40
ドイツ挑戦3季目となった大迫勇也。ポストプレーという最大の武器で周囲を納得させたが、FWとしてはやはりゴールの数も重要なだけに、開幕戦ゴールは大きなアピールとなった。
2トップ気味にしていいか、という大迫の提案が的中。
それでも後半9分、0-0の状況でヨイッチと交代で出場すると、大迫は相手のDFラインの前で次々とボールを収めて見せる。前半は相手に押されていたチームも息を吹き返し、アウェーでの初戦で3-1の勝利をつかんだ。
「(それまでの4-2-3-1のような形から)自分から2トップ気味にしていいかと監督に聞いたら、『いいけど、そのかわり守備はちゃんとしろよ』と言われて。もともと2トップの方がやりたかったし、出来る自信がすごくあるので。そういう形で出来たのが結果として良かった」
試合後に落ち着いて振り返り、こう続けた。
「シーズンの最初の3試合、4試合くらいがけっこう、チームにとっても自分にとっても大事になるっすね」
プレシーズンにそう語っていた開幕戦で突然のベンチスタートを命じられても、戸惑う素振りさえ見せなかった。むしろスコアこそ0-0だったが、アウェーで劣勢のなかで自分がチームのためになるためにどうしたらいいのかを冷静に監督に提案している。
彼が心を乱されず、焦らずにいられたのは、自信があったからだ。
では、なぜ自信があったのか――。
彼がケルンに来てから積み上げてきたものに目を向ければ、その自信のよりどころが自然と浮かび上がってくる。
昨季リーグ戦中断期間に、指揮官に伝えたある要求。
昨年12月、2014-2015シーズンの前半戦が終了する直前、ケルンのシュテーガー監督は「大迫が新たなスタートを切るための時間を我々はこれから与えるつもりだ」と語っていた。その言葉通り、リーグ中断期間中に行なわれたフロリダでのトレーニングキャンプが終わってケルンに戻ってきた後に、監督と大迫はゆっくり話をする機会があった。
どういう形でチームに貢献できるのか、どのようなポジションでプレーしたいのか、話は多岐にわたった。大迫が伝えたのは、こうだ。
シーズン前半戦のようにトップ下のような役割ではなく、もう少し高い位置でプレーさせてほしい、と。臨むプレー、ポジションを任せられるために、守備面で監督から要求もあったが、それは苦もなく受け入れられるものだった。