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大迫勇也、“確信”の開幕戦ゴール。
内田「フンテラールみたいだもん」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/22 10:40
ドイツ挑戦3季目となった大迫勇也。ポストプレーという最大の武器で周囲を納得させたが、FWとしてはやはりゴールの数も重要なだけに、開幕戦ゴールは大きなアピールとなった。
ターニングポイントは格上相手に見せたポストプレー。
“使い勝手が良いだけの選手”からの脱却を宣言していた大迫が、その言葉通りに行動に移したのだ。もちろん、成果がすぐに出たわけではない。ただ、練習から少しずつ存在感を増していった。だから、大迫もこう話していた。
「あのタイミングで監督と話す機会を設けられたのは大きかった」
今年1月のアジアカップのメンバーに、大迫は選出されなかった。傍から見れば、それはプラスの出来事ではない。だがメンバーに選ばれなかったからこそ、監督とじっくりと話をする機会が得られた。そして、その意義は小さくなかった。
大迫が第三者の目にもはっきりとわかる形で好パフォーマンスを見せ始めたのは、2月14日のボルシアMGとのアウェーゲームだ。0-1で敗れたこの試合で、大迫は2トップの一角で先発している。
ケルンが押し込まれる展開で、大迫は前線で孤立していた。それでも屈強なディフェンダーたちを相手に、前線でボールキープして味方が攻め上がるための時間を何度も作っていた。後半32分で交代したが、一対一の局面での相手に競り勝った回数はケルンの選手の中でトップを記録した。その数は14回。
シーズン前半のフライブルク(昨季で降格)戦では、大迫はフル出場したにもかかわらず、大迫が競り合いに勝ったのはわずか7回だった。この2試合の数字だけを比較しても倍である。しかし、相手の実力を考慮すれば、その価値は倍以上のものがある。
内田篤人にも「フンテラールみたい」と評されたが。
このころから、大迫が前線でボールを受けて起点になる機会が増えていく。同時に試合に出場する時間は伸び、先発に名を連ねることも多くなっていった。
前線でボールを収め起点となることで、チームでの存在感を増していった理由について、こう感じていた。
「ポストプレーに関しては、力を抜いて出来ているから、かな。余計な力が入っていないから、タッチとかも無駄がなくて、良いところにボールを止めることが出来ている。力が入っているときはやっぱり、トラップで流れちゃったりすることが多かったんでね」
しっかりとしたポストプレーは、大迫の持ち味の一つだ。内田篤人もかつて「大迫からボールをとれない。フンテラールみたいだもん」と語っていた。ケルンに移籍してからしばらくの間は、そうした持ち味さえ思うように発揮できない時期があった。