セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
前半にアクションを起こすはずが……。
本田圭佑、開幕戦で奪われた“機会”。
posted2015/08/24 16:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
キックオフの前には、フィオレンティーナの本拠地アルテミオ・フランキの外は、すっかり暗くなっていた。カクテルライトに照らされた緑の芝の上で、MF本田圭佑はチームメイトらと円陣を組んでいた。
ミランにとって82回目のセリエA開幕戦に、本田は先発メンバーの1人として名を連ねた。
新監督ミハイロビッチは、6日前に2-0で快勝したコッパイタリア3回戦とまったく同じ先発布陣を敷いた。そのペルージャ戦で、トップ下に入った本田は1ゴール1アシストの活躍を見せている。
2トップに戴くのは、地元紙が「ダイナマイト」と形容するバッカとL・アドリアーノの新加入FWコンビだ。本田には、彼らに火をつける“導火線”とでもいうべき役目が与えられている。
トップ下で先発した本田は攻守に貢献していたが……。
試合開始5分で、本田は右のSBデシーリオを使って、最初のCKを得た。15分のFKでは、MFボナベントゥラとトリックプレーを駆使して、相手ゴール前でチャンスを作っている。
直線的なダイレクトプレーで縦に早い攻撃を仕掛けるフィオレンティーナも、6分と20分に決定機を得た。それぞれMFイリチッチとFWカリニッチが放ったシュートを、ミランの守護神ディエゴ・ロペスがビッグセーブを連発して辛うじて防いだ。
32分、ボナベントゥラとのコンビプレーで、本田は左サイドを攻略する。
トップ下中央のポジションで固定起用されている本田を見るのは、彼がミランへ入団して以来初めてのことかもしれない。かといって、本田は守備への献身も忘れてはおらず、ボールも2度3度と巧妙に奪取した。
双方締まった展開に、取材メモをとる手が昨季と比べて明らかに忙しい……、と思っていたのは、36分までだった。
バランスを崩し、相手FWカリニッチを背中から倒したミランの新DFエリーに、バレーリ主審は2枚目のイエローカードを振りかざした。
エリーがあえなく退場となった上に、フィオレンティーナに与えたFKをDFアロンソから豪快に決められ、ミランは10人で1点を追う苦しい展開になった。