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大迫勇也、“確信”の開幕戦ゴール。
内田「フンテラールみたいだもん」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/22 10:40
ドイツ挑戦3季目となった大迫勇也。ポストプレーという最大の武器で周囲を納得させたが、FWとしてはやはりゴールの数も重要なだけに、開幕戦ゴールは大きなアピールとなった。
守備面で貢献しつつ、攻撃に余力を残す重要性。
「焦って、自分で体勢を崩している面が大きかったね……」
コンスタントにチャンスを得られない。数少ないチャンスを何とか活かさないといけない。大迫自身がそう語っていたように、それが焦りを生んでいたのだ。
しかしそうした問題は、少しずつ試合に出る機会が増えていったことで解決していった。
さらに、コンスタントに試合に出るようになったことで、相手がボールを持っているときにどこまで守備に労力を割かなければいけないのかもわかってきた。
「以前はとにかく守備をしようとして、攻撃に移るときに疲れてしまうこともあった。でも今は、自分のポジションの選手が、どこまで守備に力を割けばいいのかもわかってきたから。守備はしないといけない。ただ、そのなかで攻撃に余力を残せるというラインが見えてきたのが大きいかなと。そういうのって、フォワードの選手にとって、けっこう大事でしょう?」
少ないチャンスを何とかものにしようと焦り、力を発揮できなかったシーズン前半戦が負のスパイラルだとしたら、後半戦はポジティブなサイクルが出来ていた。
3月8日のフランクフルト戦では、途中出場ながら6カ月半ぶりのゴールを決めた。このときは確かな喜びをかみしめつつも、まだ改善の余地を探っていた。
「やっと結果が出たなという思いと、まだまだこれからかなという思いと両方がありますね」
「評価が一気に変わるわけないでしょ!」
実際、翌週のドルトムントとのアウェーゲームでは、極端に守備的な戦いを選択したため、結果を出したのに先発には選ばれなかった。それでももちろん、大迫に焦りはなかった。
「評価が一気に変わるわけないでしょ!」
さわやかに言い放ち、スタジアムを後にした。
一つひとつの試合で、心が乱れることはない。なぜか。大迫にはわかっていたからだ。何かに取り組んだとしても、それがすぐに成果を見せ始めることはないということを。例えば新しくトレーニングに取り組み始めたとして、それが成果を見せ始めるのは早くてもせいぜい3カ月後。だから、一喜一憂しなかったのだ。
「こんなに(自分がゴールできない期間が)空くのも、初めて。でも、頑張れば頑張るだけチャンスは来ると思ってやっていたし、腐らずにやることが、これから先につながると思うんで。折れずに、ずっと、ずっとやり続けたいです」