欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
U-21欧州選手権はタレントの見本市。
王者スウェーデンより目立った国は?
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byAFLO
posted2015/07/07 10:40
20歳にしてU-21代表の中心選手であるポルトガルのベルナルド・シルバは、リオ五輪にも出場権を持っている。日本と対戦したら手強い相手になりそうだ。
意外性とは無縁、しかし勤勉だったスウェーデン。
では、スウェーデン優勝の原動力となったものは何だったのか。それは彼らのプレーにある、勤勉さや愚直さにあったのではないかと思う。
スウェーデンには、ポルトガルのベルナルド・シルバのように攻撃に変化を加えるプレーメイカーや、ドイツのアミン・ヨウネス(ボルシアMG)のようにアクセントとなるドリブラーがいたわけではない。彼らのプレーは意外性という言葉とは無縁であり、全員が当たり前のことを当たり前にやり続ける。言い換えれば、それだけだった。
だが、そんなスウェーデンがタレント軍団を抑えて、ヨーロッパの頂点にたどり着いたことは示唆に富む。
コンパクトな布陣を保ち、全員がサボることなくよく走り、誰もが献身的に粘り強くボールに向かい続ける。そうしたプレーのベースとなっていたのは、チームの一体感であり、チームワークのよさだった。
FWヨン・グイデッティ(元マンチェスター・C)が「長く一緒にプレーしてきた仲間は家族のような存在だ」と言えば、ハカン・エリクソン監督は「2年前からみんなで一緒に準備してきた。控え選手も含めて全員が必要な選手だった」と語っていたほどだ。
率直に言って、選手個々の能力から考えれば、今回のスウェーデンの優勝が(6年前のドイツのように)、すなわち今後のA代表の躍進に直結するものとは思わない。
それでもスウェーデンは、ある意味でサッカーという競技の本質が何かを教えてくれていた。決して個人能力は高くなく、世界的に見れば強豪とは言えない日本にとっては、今大会のスウェーデンの戦いぶりには大いに学ぶべきところがあったように思う。
五輪予選を兼ねているが、五輪に出られない選手も。
そして最後に、今大会が兼ねていたリオデジャネイロ五輪予選という側面についても少し触れておきたい。
ヨーロッパに与えられたリオ五輪の出場枠は4。今大会でベスト4に進出したスウェーデン、ポルトガル、デンマーク、ドイツの4か国が出場権を獲得した。
ところがヨーロッパの場合、予選を兼ねている今大会の出場資格とリオ五輪の出場資格とがリンクしていない。要するに、今大会が今年の23歳以下、すなわち1992年1月1日以降生まれの選手に出場資格があったのに対し、リオ五輪は来年の23歳以下、すなわち1993年1月1日以降生まれの選手にしか出場資格がない。今大会に出場し、自らの手で出場権を獲得したリオ五輪でも、'92年生まれの選手は(オーバーエイジ枠での可能性を除けば)出場できないのである。