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U-21欧州選手権はタレントの見本市。
王者スウェーデンより目立った国は?
posted2015/07/07 10:40
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph by
AFLO
6月17~30日、チェコで開かれたU-21ヨーロッパ選手権。23歳以下(2年前から予選が始まるため、大会名称はU-21)の若きタレントが集結する大会は、その注目度を年々高めている。
UEFAが発表したところによれば、今大会にスカウトを送り込んだクラブの数は、およそ100にも上る。新戦力の発掘、あるいは獲得を目論む選手の能力をあらためて確認する場として、いかにこの大会の価値が高いかを物語る。
かつてはシャビ(スペイン)、アンドレア・ピルロ(イタリア)らが、この大会での活躍をステップにA代表に上がり、のちにワールドカップを制するに至っている。
最近では'09年にこの大会で優勝したドイツの選手の多くが(メスト・エジル、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテンク、マヌエル・ノイアーら)、'14年ワールドカップ優勝メンバーに名を連ねた。
ドイツは近年、ひとつ下のカテゴリーであるU-19ヨーロッパ選手権でも成果(昨年優勝)を残しており、U-21世代に優れたタレントを送り出していた。
才能の宝庫だったポルトガルの中盤。
だが今大会に関して言えば、それを上回っていたのがポルトガルだった。
なかでも一際目を引いたのは、主にトップ下を務めたベルナルド・シルバ(ASモナコ)と、アンカーのウィリアム・カルバーリョ(スポルティング・リスボン)である。
ベルナルド・シルバは優れた技術をベースに数多くボールを受け、攻撃にリズムをもたらすテクニシャン。また、ウィリアム・カルバーリョは恵まれたフィジカル能力を生かし、ボールを奪う力、ボールを失わない力、ボールを前に運ぶ力と、アンカーに必要な要素をすべて備えていると言っていいほどの万能MF。ともに中盤での存在感は抜群だった。
とはいえ、最終的に優勝したのはスウェーデン。タレントを揃えた優勝候補を抑えて、北欧の伏兵が初めてこの大会を制したことは興味深い。
スウェーデンには、キャプテンを務めたMFオスカル・ヒリエマルク(PSV)やFWイサーク・シエセ・テリン(ボルドー)をはじめ、すでにA代表経験者も多かったが、選手個々の能力という点ではポルトガルやドイツに見劣った。実際、決勝のポルトガル戦を振り返っても、終始劣勢に立たされた末のPK戦勝利だった。