スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
スペイン女子代表がW杯後に“反乱”!
全選手とリーグが監督に退任要求。
posted2015/07/09 10:40
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
5日に閉幕した女子ワールドカップでは、なでしこジャパンの粘り強い戦いぶりを堪能させてもらった。最後に散ったとはいえ、2大会連続で決勝進出を果たし、決勝トーナメントで無失点だったアメリカから2ゴールを奪ったのだから大したものだ。
対照的に、何とも消化不良な戦いに終始してしまったのが、ラ・ロヒータの愛称で呼ばれるスペイン女子代表だ。
個々の能力、パスワークの質は高いのに、肝心の崩しの形がなかなか見いだせない。そして時間の経過と共にリズムが落ち、一度リードされると焦ってミスを連発する自滅パターンに陥ってしまう。
1分2敗のグループ最下位に終わった彼女たちの戦いぶりからは、大舞台での経験不足が色濃く感じられた。
初出場のワールドカップなのだから仕方のない部分もあるとはいえ、選手たちのポテンシャルをあと10%でも引き出すことができれば、少なくともグループリーグ突破は十分に可能だったと思えてならないのだ。
23人の選手がケレダ監督の退任を要求!
もう少しうまく戦えなかったものか。そんな煮え切らない問いかけへの答えは、ほどなく意外な形で明らかになった。
カナダから帰国する直前、23人の選手たちがイグナシオ・ケレダ監督の退任を要求する声明を出したのだ。
「ワールドカップを終え、大会を総括し、結論を導く時が来ました。個人として、グループとして自己評価を行なった私たち23人の選手たちは、もっと良いパフォーマンスを出すことができたはずだと認識しています。この世代にはもっと上まで辿り着けるだけのタレントと結束があるのですから」
まずは自分たちの戦いぶりを評価した上で、選手たちが説明した監督交代を求める理由は驚くべきものだった。
「自分たちの責任を受け入れた上で、グループの23選手が感じていることを公表したいと思います。ワールドカップに向けた準備が正しいものでなかったことは明らかです。テストマッチは存在せず、気候対策もわずか、ライバルの分析や試合へ向けた準備は不完全……そんな状況が長い間続いてきたんです」