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「一強」ドゥラメンテの最大の死角とは。
超良血馬集結の日本ダービーを読む。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/05/30 08:00
皐月賞を圧倒的な末脚で制したドゥラメンテ。5戦3勝2着2回と連をまだ外していないが、敗れた2戦はいずれもダービーの舞台である東京競馬場だ。
ドゥラメンテが府中を走る時の問題とは?
枠はどこを引くかと注目していたら、7枠14番になった。先週のオークスで1番人気に支持されて2着となったルージュバックと同じだ。先週の本稿に記したように、特に近年のダービーでは内枠有利の傾向があるのだが、ネオユニヴァースが勝ったときは7枠13番だった。今回は1頭ぶん外なだけで、しかも偶数番だから、ゲート内で待たされない後入れになる。
2走前の共同通信杯は道中掛かって2着に負けたので、前に馬を置きやすい内枠のほうがよかったのかもしれないが、実は、枠の内外よりも気になることがひとつある。
それは、この馬の「手前」に関することだ。
この馬は、デビューから東京芝1800mばかりを4戦し、2-1-1-2着となり、その次が皐月賞だった。馬自身が左手前(左前脚を右より前に出して走ること)が好きなのか、東京で走った4戦すべての直線で、ラスト200mを過ぎたあたりで左手前に替えている。コーナーを回るとき、左回りなら左手前で走り、直線で右に替える。であるから、東京の直線では右手前で走り切るのが普通なのだが、この馬は、なぜか最後に左に戻して走るのだ。
皐月賞の4コーナーで横っ飛びしたときのVTRを見ると、コーナーを回りながら左手前に替えてしまい、外にふくれたことがわかる。
マイナスポイントはいくつもあるが……。
管理する堀調教師が「得意の左手前」と表現しているように、皐月賞で前をぶっこ抜いた脚は、左手前で繰り出した。ダービーでは左手前で走る3、4コーナーで一気に加速し、そこで勝負を決めることになるのか。
右手前の走りが悪いわけではないのだが、馬が自分で手前を替えるのは、苦しかったり、嫌なことがあったりした場合が多い。共同通信杯のゴール前では、左手前に替えてからリアルスティールに置かれてしまった。替えた直後はすぐに加速できないので、気になるところではある。
……といったように、けっして欠点のない馬ではない。減点法で見ると、マイナスポイントになりそうなところはいくつもある。
それでも、もともと持っているポイントがものすごく高いので、レース中にまた何らかのマイナスを抱えても、勝ち負けになってしまうのではないか。