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「一強」ドゥラメンテの最大の死角とは。
超良血馬集結の日本ダービーを読む。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2015/05/30 08:00

「一強」ドゥラメンテの最大の死角とは。超良血馬集結の日本ダービーを読む。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

皐月賞を圧倒的な末脚で制したドゥラメンテ。5戦3勝2着2回と連をまだ外していないが、敗れた2戦はいずれもダービーの舞台である東京競馬場だ。

18頭中9頭の出走馬が、ノーザンファーム出身。

 ドゥラメンテの母はエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴ、その母は名牝エアグルーヴである。

 前人未到のダービー6勝を狙う武豊が騎乗するポルトドートウィユ(牡、父ディープインパクト、栗東・高野友和厩舎)も、同じエアグルーヴの孫にあたる。

 1頭の牝馬の孫が2頭もダービーに出るのはすごいな……と思っていたら、もっとすごいことに気がついた。

 これら2頭を含む9頭もの出走馬が、ノーザンファームの生産馬なのである。全18頭の半数だ。

 先週のオークスでは、出走した生産馬4頭が1~4着を独占。5着のアンドリエッテも同牧場で育成されていたというから、ノーザンファームのスタッフが触った馬が掲示板を占拠したわけだ。

ダービーの勝ち方を知っている武豊が乗る「武豊血統」。

 これは話を聞かなくては、と、以前から親しくしているノーザンファームの横手裕二育成厩舎に電話をした。

「ダービー出走馬の半分が自分たちのところの生産馬って、どんな気分ですか」

「ライバルは身内にいるのかな、という感じですね」

 そう答えた横手さんは、育成馬時代のディープインパクトを手がけた人だ。今年のダービー出走馬で横手厩舎にいたのは、ポルトドートウィユとレーヴミストラルの2頭。ダービー出走馬は、よく甲子園球児にたとえられる。その伝で言うと、1歳の秋から2歳のデビュー前まで見ていた横手さんは、中学生時代の監督、といったところか。

「ポルトドートウィユは、牧場にいたときから形がよく、カッコいい馬でした。評価が高く、期待が大きかっただけに、きさらぎ賞で2着に負けたときなんかは歯がゆかったですね。前走の京都新聞杯も勝たなければいけなかったと思うのですが、まだ力がつき切っていないのかもしれません。ダービーは、なんと言っても豊さんですから、何より期待しているのはその点です」

 横手さんが言うように、ほかにダービーを3勝した騎手すらいないなか5勝を挙げている武は、ダービーの勝ち方を知っている。その武が、父ディープインパクトばかりでなく、母ポルトフィーノ、祖母エアグルーヴ、母の父クロフネと、すべて騎乗した「武豊血統」と言える馬に乗るのだ。行ってもよし、抑えてもよしと、なんでもできる好枠の3枠6番を引いた。追い切り後に武がコメントしたとおり、ノーチャンスではないだろう。

 なお、ドゥラメンテは、横手厩舎ではなく、同牧場の林宏樹育成厩舎にいた馬である。

【次ページ】 松田師がラスト・ダービーに挑む「華麗なる血脈」。

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