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「一強」ドゥラメンテの最大の死角とは。
超良血馬集結の日本ダービーを読む。
posted2015/05/30 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
皐月賞を驚異的な末脚で制した駿馬が二冠獲得を目指し、同じ祖母を持つ超良血馬も覇権を狙う。また、全勝で臨んだ皐月賞で敗れ、巻き返しをはかる馬たちもいれば、これが最後のダービーとなる伯楽も有力馬を送り込んでくる――。今年の「競馬の祭典」第82回日本ダービー(5月31日、3歳GI、東京芝2400m)は、実に見どころが多く、ハイレベルな戦いになりそうだ。
下馬評では、皐月賞の4コーナーで、馬数頭ぶん横っ飛びするような格好になりながら、直線で前をまとめてかわしたドゥラメンテ(牡、父キングカメハメハ、美浦・堀宣行厩舎)の「一強」ムードだ。
確かに、衝撃度としては、スタート直後に大きく躓きながら圧勝した、10年前のディープインパクト級の勝ち方だった。
ディープは、無敗のままダービー、菊花賞を制し、三冠馬となった。
M・デムーロがドゥラメンテに感じる本物の手応え。
ドゥラメンテもここを勝ち、'11年のオルフェーヴル以来の二冠馬(オルフェも三冠馬となった)となることができるのか。
その可能性は小さくないだろう。皐月賞の4コーナーの横っ飛びは、他馬の進路を妨害することになったが、ドゥラメンテ自身にとっても大きなロスだった。言ってみれば、自分で不利を抱え込んだわけだが、にもかかわらず、中山の短い直線で鬼のような脚を使い、2着を1馬身半突き放したのだから、普通ではない。
また、主戦のミルコ・デムーロは、この馬の調教に初めて乗ったころから「ネオユニヴァースのようだ」と言っていた。ネオは、自身の手綱で皐月賞、ダービーの二冠を制した名馬である。私の記憶違いでなければ、'13年の皐月賞を同じく自らの手綱で勝ったロゴタイプに関しては、ネオに言及することはなかった。
デムーロは、走る馬ならなんでも「ネオのようだ」と言うわけではない。ドゥラメンテに関しては、本当にネオ級の手応えを感じているのだろう。