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「投げて打って守るだけでは勝てない」
センバツ大会、全11日間を総括する。
posted2015/04/02 11:50
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
甲子園選抜大会が4月1日、幕を下ろした。
11日間を振り返ると、1、2回戦まではきわめて順当な結果だった。番狂わせと言えるのは1回戦の松山東5-4二松学舎大付、2回戦の健大高崎3-1天理くらい。強豪がいい具合に各ブロックに散ったため1回戦は大量得点差がつく試合が多かったが、強豪が勝ち残った2回戦以降は僅少差の試合が多かった。
そういう中で敦賀気比と東海大四は、対照的な歩みで決勝まで勝ち残った。敦賀気比が1回戦から準決勝まで奈良大付、仙台育英、静岡、大阪桐蔭と強豪相手の試合が続いたのに対し、東海大四は豊橋工、松山東、健大高崎、浦和学院と、準決勝の浦和学院以外は前評判の高くない相手との試合が続いた。両校のスコアは次の通りだ。
<敦賀気比>
1回戦 奈良大付 3―0
2回戦 仙台育英 2-1
準々決勝 静岡 4-3
準決勝 大阪桐蔭 11-0
<東海大四>
1回戦 豊橋工 3-0
2回戦 松山東 3-2
準々決勝 健大高崎 1-0
準決勝 浦和学院 3-1
春は投手力、というのが選抜大会の伝統。
両校とも僅少差の試合が多い。全体を見ると1回戦の16試合中9試合で4点差以上ついており、3点差以内で勝ち上がったのは敦賀気比、浦和学院、大曲工、県岐阜商、近江、松山東、東海大四の7校。その敦賀気比と東海大四が決勝まで勝ち残っているのを、偶然と捉えるわけにはいかない。
春は投手力、というのが選抜大会の伝統である。敦賀気比・平沼翔太(3年)、東海大四・大澤志意也(3年)の両エースが初戦から接戦を通して確実にステップアップしていったと考えていいだろう。