最注目の選手はやはり、県岐阜商の150km右腕。

　結論を言うと、この選抜大会は非常に面白かった。決勝を戦った敦賀気比は豪雪地帯の福井県、東海大四は日本で最も寒い北海道にある学校。早春に行われる選抜大会は寒冷地の学校には不利、というのが定説だが、室内練習場の普及や練習方法の工夫で、それが絶対的な不利にならないということを二校は証明した形になる。両校の躍進は他の寒冷地勢に勇気を与えただろう。

　決勝戦以外にも、私がエキサイトした試合は次のカードである。

2回戦＝木更津総合4－2静岡、敦賀気比2－1仙台育英、健大高崎3－1天理、準々決勝＝敦賀気比4－3静岡、大阪桐蔭5－3常総学院、準決勝＝東海大四3－1浦和学院、決勝＝敦賀気比3－1東海大四

　選手で最も注目したのは、前半戦の話題を独り占めした感のある150km右腕、高橋純平（県岐阜商3年）である。選抜期間中、早朝に出演し続けた毎日放送「みんなの甲子園」の初日、高橋を「藤浪晋太郎（阪神）、大谷翔平（日本ハム）よりすこし力が下」とコメントしたが、初戦の松商学園戦を見てすぐに撤回した。

「高校3年春の時点では、コントロール、変化球の精度など総合的な完成度で2人より上」

　それが番組中でのコメントであり、今も私の中にある確信である。