松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
心が揺れてもプレーは揺れず――。
松山英樹が22歳で到達した不動心。
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舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2015/02/24 10:50
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「崩れないことが一番大事」と繰り返していた松山。一喜一憂することなく記者取材にも堂々と応じる、プロアスリートとしての度量の大きさも魅力。
「ショットもパットも何も良くなかった」のに4位!?
今週の舞台は米ツアー屈指の難コース、リビエラCCだった。晴天続きで干上がったスモールグリーンは、例年以上に硬く速く、難コースは選手たちが「全米オープンみたいだ」と嘆くほどの超難コースに姿を変えていた。
ショットもパットも不調の中で大会を迎えた松山は、その超難コースに「攻め入るぞ」と意気込めるだけの自信を持ち合わせないまま初日に挑んだ。
「ショットもパットも何も良くなかった。終わってます」
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それが、彼の第一声。そのとき彼の目の前にあった仮想のカップは豆粒ほどしかない小さな難しい輪っかだったに違いない。しかし、そんな始まり方をしたにもかかわらず、最終日を終えたとき、彼は4位に食い込んでいた。
去年のこの大会を23位で終えたとき、彼が口にしたのは「ストレスの溜まる、面白くないラウンドでした」だった。だが、今年の松山は、怒りも焦りも見せることなく、代わりに見せたのは粘り強さだった。
ミスしても試合の途中で絶対に崩れない、という自信。
2日目は「良くなりそうでならなかった」が、それでも「予選を通れたのは良かった」と安堵の表情。3日目はパットがようやく向上したおかげで一時はスコアを伸ばしたが、直後に3連続ボギーを喫し、「欲を出したらミスが出た」と謙虚に反省。
首位に7打差で迎える最終日をクールに見据え、「良くなってきていると思うのでチャンスは無くはない。優勝が無理でも、それに近いぐらいのスコアで回れたらいいなと思う」と、一縷の望みを胸に秘めた。
そして最終日。「アイアンは良くなった」という言葉通り、ピンに絡むショットが増え、スコアを4つ伸ばした時点でトップ10入りが見えてきた。だが、「パットは昨日ほど良くなかった」と振り返った通り、14番の3パットでややブレーキがかかった。
だが、それでも彼は諦めず、15番、16番は着実にパーを拾った。17番、18番を連続バーディーで締め括り、終わってみれば、今季5度目のトップ10入り、今年に入ってから出場した5試合で3度目のトップ5入りを果たしていた。
「初日のスタートに自信を持って臨めれば、試合(の中での)感覚とかは関係ない。でも、初日のスタートに自信を持って臨めなかったら、試合の中で、試合をやりながら直していくしかない。今週はそれができて良かった」