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「一生懸命やるだけの時期は過ぎた」
内田篤人の試合中の“思考”を辿る。
posted2014/12/12 10:50
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
試合終了のホイッスルが鳴った直後には淡々としていた内田篤人も、遠くドイツからスロベニアまでつめかけたファンへ挨拶をしたときには、満面の笑みを浮かべていた。
決して、シャルケが良いサッカーをしたわけではない。ではなぜ、内田は満面の笑みを浮かべられたのだろうか。
2010-2011シーズンに内田篤人が加入してから、出場したCLでは3回連続でシャルケは決勝トーナメントに進出していた。そんなクラブに所属していると、トーナメント進出がかかった大一番の前でもナーバスにならず、自然体で試合に臨むことが出来る。
シャルケの首脳陣はグループステージの最終節、マリボルとのアウェーゲームを「決勝戦」と位置づけていた。そんな試合の前はさすがに選手たちの間に“特別な緊張感”があったのか、と問われた内田はこう話している。
「そんなことはないよ。みんなやっぱり、こういうのに慣れている感じはあったから。CLの舞台自体にもね」
ホームで強い相手に、苦戦が予想されていた。
シャルケの入ったグループGは、最終節を前にチェルシーが首位での通過を決めており、勝ち点7で2位のスポルティングはチェルシーとの、勝ち点5で3位につけていたシャルケはマリボルと、それぞれアウェーゲームにグループ2位の座が懸かっていた。シャルケがグループを突破できるのは、スポルティングが敗れ、シャルケがマリボルに勝った場合のみだった。
今シーズンのシャルケのCLでの戦いぶりから、マリボルに勝つのは簡単ではないと見られていた。
「彼らはホームでは一度も負けていないんでしょう?」
試合後に内田はそう語っていたが、実際マリボルはチェルシーともホームで引き分けており、グループ4位ではありながらシュタディオン・リュドスキ・ブルトでの試合は強さを見せていた。
だからこそ、格下と思われる相手に前半に何度もシュートを打たれても、内田はこう思うだけだった。
「アウェーなんだから、ある程度は仕方がない」