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ディナターレがセリエA通算200点。
“傍流”の男が達成した偉業の真価。
posted2014/12/11 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
ウディネーゼの主将であるFWディナターレが、先月下旬の12節キエーボ戦で、セリエA通算200ゴールを達成した。
この大記録に到達したのは、過去6人しかいない。通算得点記録歴代1位のピオラを筆頭に、ノルダールやメアッツァ、バッジョなど伝説的FWたちが名を連ねる中で、ディナターレの積み上げた200ゴールは、ひときわ異彩を放つ。
彼は、ビッグクラブで一度もプレーすることなく、エンポリとウディネーゼという地方クラブに属しながら、金字塔を打ち立てたからだ。偉業達成の後、誇らしげに語った。
「200試合に出場する選手ならいくらでもいる。だが、ビッグクラブであろうとなかろうと、200ゴールもできる人間は普通じゃない。怪物さ。そんな大記録を地方クラブで達成したのなら、なおさらのことだ」
代表に入っても、トップクラブから誘いはなく。
日韓W杯が終わって間もない'02年の秋、3部と4部で下積みを重ねたディナターレが、セリエAへデビューした。
真っ青なエンポリのユニフォームをだぶつかせた活きのいい小兵FWは、'04年に移籍したウディネーゼでエースとなり、地方クラブの貴重な得点源としてコンスタントにシーズン二桁得点を挙げ続けた。
イタリア代表歴も重ねたが、当時欧州のトップレベルにいたミラノの2強クラブや首都ローマから誘いの声がかかることはなかった。
寒風吹きすさぶ北都ウディネで、ディナターレは名将グイドリンの薫陶を受けながら、ひたすらペナルティエリアでのフィニッシュやロングシュートの精度を磨いた。
遅咲きのキャリアに花が開いたのは32歳のときだ。
インテルが3冠を達成した'09-'10年シーズンに、FWミリート(現ラシン)やFWエトー(現エバートン)を退けて、初の得点王を獲得したのだ。“神童”サンチェス(現アーセナル)と組んだ高速カウンターの切れ味は抜群で、ディナターレは面白いように29ゴールを挙げた。
翌シーズンも、優勝したミランのFWイブラヒモビッチ(現パリSG)やナポリのカバーニ(同)といった強力なライバルたちを抑えて、得点王のタイトルを守った。当時の監督グイドリンは、「やつこそサッカーの天才」と賛辞を惜しまなかった。