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「一生懸命やるだけの時期は過ぎた」
内田篤人の試合中の“思考”を辿る。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/12/12 10:50
CLグループリーグ突破を決め、内田篤人はファンに最高の笑顔を見せた。指示よりも結果、目先の評価よりも長期の視点……内田の思考法は他の誰とも似ていない。
「勝つこと、勝つこと!」
そして、こうも話した。
「一生懸命にやるのはわかるけど、(CLでの経験が豊富な自分に求められるのは)そこから先だと思うから。その試合での評価をあげたいだけなら頑張るけど、最後の20分を無理に頑張るのもいいけど、次の試合のことも考えないといけない。どれだけ長く、大事な時に力を出せるかが大事だと思うかな」
試合前のプランにとらわれたら、臨機応変に対応できなくなる。自分のポリシーをつらぬくことにとらわれすぎたら、大事な試合を前にコンディションを落としてしまう。同じように、試合内容にこだわりすぎて、それで気持ちが揺れるようでは大事な試合に勝てないと内田は考えている。
だから、決勝トーナメント進出を決めた以上、試合内容が悪かったからなどといって、気落ちするのは内田にとってはナンセンスだ。
「ここでEL(ヨーロッパリーグ)に回るのか、全てが終わるのか、CLが続いてくのか。それだけで、だいぶ違うからね。やっぱり、リーグ戦にも影響してくる。CLでガリガリ上手くいっていたら、来シーズンも出たいなと思って頑張るし」
試合後に最高の笑顔を見せた理由も、そこにあるのだ。
「こういうギリギリの試合をやって、チームは強くなると思います。なかなか出来ないじゃないですか、最後までもつれてという戦いもね……。ここで上に行けるから、意味がある。行けなければ意味がないから。成長もクソもないから。(大事なのは)勝つこと、勝つこと!」