濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
VTJの金網で輝いたベテランたち。
宇野薫が語った、“19年目”の未来。
posted2014/10/10 10:40
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
一昨年の12月にリニューアルスタートしたVTJは、“アメリカ直結型”MMAイベントである。そのコンセプトはアメリカで(UFCで)勝てる選手の発掘と育成。試合場はリングではなくケージで、アメリカのアスレチック・コミッションが認定するヒジ打ち有効のユニファイドルールが採用されている。日本人選手たちにとっても、アメリカで初めてケージやヒジを体験するのではなく、日本で充分に経験を積んだ上で“本場”を目指すことができるのだ。
今年からパンクラスでもケージ&ユニファイドルールが定期化、DEEPはリングとケージを併用している。いまやほとんどの選手が海外での活躍を目指しているだけに、この流れは時代の要請と言っていい。
階級を下げたISAO、初体験のケージで完勝。
VTJから世界に羽ばたいた代表格が堀口恭司だ。現在、UFCで3連勝中の彼は修斗で世界タイトルを獲得しただけでなく、VTJで国際戦や他団体トップとの闘いを経験している。
10月4日、大田区総合体育館で開催された第6回大会には、パンクラスのライト級チャンピオンであるISAOがフェザー級に階級を下げて初参戦を果たした。ケージでの闘いは初めてだったISAOだが、打撃とテイクダウンを巧みに織り交ぜた試合運びでリオン武(元修斗世界王者)に完勝。メインイベントではフライ級トーナメントの決勝戦で、扇久保博正がシーザー・スクラヴォスを下している。
ISAOは25歳、扇久保は27歳。まさにこれから選手としてのピークを迎える時期だろう。今後もケージで、そして世界の舞台での活躍が期待される。
ただ、VTJは若い選手たちだけのものではないし、世界への飛躍は若者の特権でもない。30歳をすぎた選手たちも、キャリア最後の挑戦としてこの舞台に上がっている。今大会では、そんなベテランの存在感も光った。