濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
VTJの金網で輝いたベテランたち。
宇野薫が語った、“19年目”の未来。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2014/10/10 10:40
持ち前の粘り強さで脅威の6連勝を果たした宇野薫。2010年以来となるUFC復帰なるか。
ベテランたちが見せた驚くべき強さ。
37歳のマモルは、修斗で世界戦を経験している飛猿☆No.2にTKO勝ち。序盤は打撃で先制されたものの、カウンターのヒジ一発で出血に追い込み、負傷による続行不能に追い込んだ。
38歳の修斗世界ウェルター級王者・弘中邦佳は韓国のキム・ドンヒョンに肩固めを極めた。キムのパンチで後退し、金網を背負う場面も多かった弘中だが、そこからタックルでグラウンドに持ち込んでからは完全に圧倒している。スタンドでのピンチは、キムを打撃に集中させ、タックルへの警戒心を緩ませる作戦だったのではないかとも思わせる試合運びだった。
HERO'SやDREAMでの活躍でも知られる高谷裕之は、自分より一回り年下の高橋遼伍を左フックからのパウンド連打でKOしている。修斗の成長株・高橋のローキックで何度も体勢を崩されながら前進を続けた迫力には、さすがと思わせるものがあった。
39歳の宇野薫、3度目のUFCを目指して。
そして宇野薫だ。修斗から始まりUFC、HERO'S、DREAMと数々の舞台に上がってきた宇野は、いま39歳。3人の子を持つ父親でもある。しかし格闘技への意欲は衰えることなく、UFCとの3度目の契約を目指し、修斗やVTJなどで6連勝を飾っている。
今回、宇野が7連勝をかけて対戦したのはアメリカで11連勝中のラージャ・シッペン。サイドキックやバックスピンキックを駆使する変則的なストライカーで、宇野はなかなか組み付くことができない。2ラウンドには左目の上から出血も。普通の選手であれば、このままズルズルとペースを握れないまま試合を終えてもおかしくない。そんな展開だった。
だがその2ラウンド、思い切ったパンチで活路を見出すとテイクダウンに成功。そこからパンチ、ヒジを連打してダメージを与え、最後はリアネイキッドチョーク(裸絞め)でシッペンを仕留めた。