ブラジルW杯通信BACK NUMBER
日本の「コンセプト」を呼び覚ませ。
本田のゴールが日本にもたらす効果。
posted2014/06/17 10:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
初戦の黒星は重い。コロンビア対ギリシャ戦をテレビで観た後は、さらに重くのしかかる。
主砲ファルカオを欠いているものの、コロンビアは強い。ハメス・ロドリゲスとクアドラドを軸とした攻撃は、緩急自在でソリッドだ。得点源となるテオフィロ・グティエレスも、ストライカーとしての資質は高い。
スコアと時間帯に応じた巧妙な試合運びは、マリーシアをぶつけ合う南米予選やコパ・アメリカで磨かれたものだろう。コロンビアから勝点3をつかむのは、相当にタフなミッションと言わざるを得ない。
思い出した2006年オーストラリア戦の屈辱。
コートジボワール戦の前半が終わった段階で、僕は2006年のオーストラリア戦を思い出していた。中村俊輔のFKがそのままゴールへ吸い込まれる幸運な先制点で、日本は前半を1-0で折り返した。だが、オーストラリアを統べるフース・ヒディンクは、有効な交代カードを持っていた。長身FWジョシュア・ケネディ、パワフルな突破を武器とするジョン・アロイージである。
果たして、61分にケネディ、75分にアロイージが登場することで、日本の守備陣は激しいストレスにさらされる。ゴール前を襲ってくるハイクロスにDFラインが後退を強いられ、ボールの出どころにプレッシャーをかけられない。守備に忙殺される攻撃陣は、自分たちの強みを発揮できず──。
日本サッカーの歴史に刻まれる'06年大会の敗戦は、ドログバ登場が滑落の引き金となったコートジボワール戦に重なる部分が少なくない。6月14日のレシフェでザックが切ったカードは、残念ながらピッチの色彩を変えるに至らなかった。'06年のジーコと同じように。