スポーツのお値段BACK NUMBER
W杯は出た時点で「1兆円」の価値!?
経済的には既に日本は勝っていた!
posted2014/06/16 16:30
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
Takuya Sugiyama
1兆円
(W杯に出場できなかった場合の日本の経済損失)
前回の「スポーツのお値段」では、W杯の開催国ブラジルと国際サッカー連盟(FIFA)の損得を考えてみましたが、今回は日本代表を取り巻くお金について見ていきたいと思います。W杯に出場し、勝利を重ねることは、日本サッカー協会(JFA)にどれだけの直接的な経済メリットをもたらすのでしょうか?
各国のサッカー統括団体が、W杯出場によって得られる(FIFAから支払われる)お金には3種類あります。
1つ目が、出場するだけでもらうことのできる「準備金」で各国150万ドル(1億5000万円、1ドル=100円で計算)。
2つ目が「移動・宿泊経費」で、各国135万ドル(1億3500万円)。
そして3つ目が「賞金(Prize Money)」です。詳細は別表の通りですが、仮に1勝もできなかったとしても800万ドル(8億円)は保障されることになっています。
勝てば勝つほど賞金は確かに増えるが……。
以上のことから、日本サッカー協会は、代表チームがW杯出場を決めた時点で、「準備金」「移動・宿泊経費」「賞金(最低額)」を足した10億円以上の収入を確保できたことになるのです。
あとは、グループリーグを突破し(賞金が1億円アップの9億円に)、ベスト8に入り(さらに5億円アップの14億円に)、その都度加算されていく賞金をものにすることで追加の収入が大きく増えていくことになります。日本代表が過去最高の成績を目指す戦いは、お金の面からしても、実に重い意味を持っていると言えそうです。
しかし、果たして本当にそうなのでしょうか? 私は今回の分析を進めていくうちに、次のような疑問を抱くようになりました。「W杯で勝ち進むことよりも、W杯に出ることのインパクトの方が大きいのではないか?」と。