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NBL、bjリーグに見るプロ化の壁。
日本バスケット界の“市場規模”。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO SPORT
posted2014/04/22 10:30
NBLでも群を抜いた観客動員、スポンサー契約を誇るリンク栃木ブレックスの田臥勇太。地元との関係も密接で、日本でプロバスケットチームを作る一つのモデルケースになっている。
日本でも、プロバスケットボールチームは成立する。
bjリーグの各チームには、田臥ほどの知名度がある選手はいない。それでも琉球、秋田、新潟のほか、浜松・東三河フェニックス(平均2089人)と仙台89ERS(同1838人)は、リンク栃木と同等か、それ以上の観客を集めている。琉球はチケット収入だけで年間1億円を超えており、この点はリンク栃木を上回っている。
こうしたbjリーグの実績から分かることは、本拠地を置くべき地域をよく吟味して、営業活動にしっかり取り組めば、日本においても、プロのバスケットボールチームは十分に成り立つということだ。
絶望的な戦力差を埋める試みを。
しかしNBLは、現在の体制のままでは、bjリーグのような動員力を持つチームが増えていくとは、ちょっと思えない。なぜなら、西地区においては、日本リーグ時代からの企業チームと、新規参入したプロチームとの実力差が、あまりにも大きすぎるからだ。4月16日時点での西地区は
1位・アイシン三河 38勝12敗
2位・和歌山 37勝13敗
3位・三菱名古屋 25勝25敗
4位・兵庫 9勝41敗
5位・つくば 8勝42敗
6位・熊本 6勝44敗
となっている。2位の和歌山は、昨季限りで休部になったパナソニックを引き継いだチームだ。4位以下の兵庫ストークス、つくばロボッツ、熊本ヴォルターズは、兵庫が日本リーグの2部にあたるJBL2からの参入で、あとの2チームは新規参入の、親会社を持たないプロチーム。上位3チームと下位3チームの実力差は明らかで、プレーオフ進出の枠を争うといったレギュラーシーズンの醍醐味を見出すことはできない。これでは、新たなファンの獲得には限界がある。
この西地区には、来シーズンから、日本を代表するポイントガードだった佐古賢一氏が監督に就任した新チーム、広島ドラゴンフライズが参入することになっている。それでも、ドラフトをはじめ、戦力を均衡化させる仕組みはないため、企業チームの優位が、そう簡単に崩れるとは思えない。
当面できることがあるとすれば、戦力を均衡化させる何らかの制度、例えば、現在外国人選手の出場は第1Q、第3Qが2人、第2Q、第4Q、延長は1人となっているルールを、勝率3割以下のチームだけは、全試合で2人出場できるようにするなど、アドバンテージを与えることくらいかも知れない。
NBLとbjリーグの統合に向けた話し合いは、始まってはいる。それについては、また機会を改めて書いてみたいと思う。