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NBL、bjリーグに見るプロ化の壁。
日本バスケット界の“市場規模”。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO SPORT
posted2014/04/22 10:30
NBLでも群を抜いた観客動員、スポンサー契約を誇るリンク栃木ブレックスの田臥勇太。地元との関係も密接で、日本でプロバスケットチームを作る一つのモデルケースになっている。
大きな進歩と、なかなか上がらぬ認知度。
結果は、見るべきところもあった一方で、国内バスケットボールの認知度を上げるところまではまだいたっていない。
見るべきところとは、NBLのスタートに際して、参加12チームの総意で選手会が組織されたことだ。団体交渉をするための、組合としての選手会ではなく、バスケットボールの発展のために活動していく団体として、一般社団法人の選手会が、開幕前に結成されたのである。
年間1万円の会費を出し合って、まずはオールスター戦に開催地の子供たちを招待したり、プレーオフの切符を副賞として小学生対象のバスケットボールにまつわる作文コンテストを企画したり、独自の活動を始めている。設立の音頭をとったのは、2010年、現役日本代表だった時に公認会計士試験に合格して話題になった岡田優介会長(トヨタ自動車東京)だった。
選手会の設立が、選手たちの意識を変えた面もある。副会長に就任した竹内譲次(日立東京)は「僕たち選手は、いままで用意された舞台でしか動いていなかった。選手会を作ることで、自発的に動いていける」と語っている。同じく副会長になった竹田謙(リンク栃木)や朝山正悟(三菱名古屋)も思いは同じで、今後、バスケットボールの普及、人気の向上につながる活動に、選手全体で取り組む意欲を見せている。
地元とのコラボレートで開幕戦に2500人を超える観客が。
実際、トヨタ自動車東京の選手たちは、開幕戦の前に、これまでは見られなかった行動に出た。NBLの開幕戦として代々木第二体育館で行われた「トヨタ自動車東京-リンク栃木」の試合に向け、会場周辺の飲食店と交渉して試合の半券を持参すれば割引料金になるなどの特典を引き出し、それをソーシャルネットワークで広めて試合の価値を上げる努力をした。
開幕戦の前売りは1500枚しか売れていなかったそうだが、最終的には2523人の観客が入った。開幕戦で収容3000人の代々木第二体育館が満員にならなかったのは残念なことではあるが、選手たちの努力が、観客動員にプラスになったことは間違いない。これは一つの進歩だ。