フットボール“新語録”BACK NUMBER
トレーナー・西本直が解説する、
中田英寿や本田圭佑の「背中」。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byYusuke Nishizono
posted2014/04/14 10:30
今年1月に行なわれた新春ドリームマッチ群馬2014に出場した中田英寿。現役を退いても、ドリブル中に背筋をピンと張ったその姿勢は変わっていない。
「中田英寿さんの現役時代のプレー映像を見ると、 骨盤がしっかり引き上げられ、背中にも十分な反りが できている。日本人選手の目指すべき方向性を 示してくれているのではないでしょうか」
西本直(トレーニングコーチ)
ブラジルW杯に向けて、ぜひ紹介したい「サッカーの見方」がある。選手が走っているとき、ドリブルしているとき、シュートを打つときに、どんな「姿勢」で、どんな「体の使い方」をしているかに注目するという観戦術だ。
筆者にこういう見方を教えてくれたのが、トレーナーの西本直だ。すでにこのコラムでも、「大迫勇也のポストプレー」、「テベスの1対1の守備の対応」などで何度も登場して頂いた。昨年11月のNumber 842号では、メッシ、ルーニー、ネイマール、エジル、イニエスタら超一流選手の分析をしてもらった。
ただし、これまでは読みやすさや誌面の文字数の関係で、西本が見ている世界観を断片的に紹介するに留まっており、いつかきちんとした形で全体像を取り上げたいと考えていた。
「股関節の自由度」を大きくする姿勢の良さ。
今回は「西本的サッカーの見方」の大枠を捉えるために必要な2つの視点を紹介したいと思う。
まず1つ目は「姿勢の良さ」だ。
「そんなの当たり前だ!」と思われるかもしれないが、「姿勢が良いとどんなメリットがあるのか?」というところまで掘り下げて、理由をきちんと言語化できる人は少ないだろう。
結論から言えば、姿勢の良さのメリットのひとつは、「股関節の自由度が大きく」なることにある。