サッカーの尻尾BACK NUMBER
「カガワもホンダも素晴らしい」
イブラが語った人生、そして日本。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byTomoki Momozono
posted2014/04/11 17:20
PSGのクラブハウスでおよそ30分のインタビューに応じた。広報担当者もイブラヒモビッチがインタビューを受けることに驚いて連絡をしてきたという。
今週、世界を席巻した一本のビデオがある。
チェルシーのクラブ公式チャンネル『Chelsea TV』が、チャンピオンズリーグ準々決勝第2戦のチェルシー対PSG戦の直後にアップしたものだ。
そこには試合後のスタンフォード・ブリッジのピッチサイドでインタビューを受ける、ジョゼ・モウリーニョの姿が映っている。
試合はチェルシーが2-0で勝利し、アウェーゴールの差で劇的な準決勝進出を決めた。カメラの前のモウリーニョは柔らかく、すっきりとした表情をしている。
彼が試合を振り返っていたときのことだ。モウリーニョの背後から、かがんで近づいてくる巨体の姿があった。
ズラタン・イブラヒモビッチだ。
彼はモウリーニョの背中を叩くと、「グッドラック」と言い、かつての指揮官と抱き合った。
YouTubeのチェルシー公式チャンネルにもアップされたこのビデオ(http://www.youtube.com/watch?v=t5jVVGXIN8w&feature=player_embedded)は、2日間で100万ビューを超え、欧州のあらゆるメディアで話題となっている。
隠れながら近づいてくるイブラヒモビッチを「微笑ましい」とする意見もあれば、「感動的」と賞賛する声もあった。勝ったチェルシーファンも、負けたPSGファンも、このビデオに対しては一様に賛辞をおくっている。
なぜ2人の抱擁が人々の心を揺さぶるのか。
勝者と敗者が試合後に讃え合う姿はいつだって美しいものだ。と同時に、そんな光景は特に珍しいものでもない。
なぜ、モウリーニョとイブラヒモビッチの、わずか数秒間の抱擁がこれほどまでに人々の心をゆさぶるのだろう。
そんなことを考えながら、2週間前のことを思い出していた。
3月の最終週、パリでイブラヒモビッチに会った。
現在発売中のNumber851号『欧州最強の11人。』の特集で、彼にインタビューするためだ。