ひとりFBI ~Football Bureau of Investigation~BACK NUMBER
W杯優勝国は「すでに決まっている」!
波乱の歴史が教える6つの『法則』。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byAP/AFLO
posted2014/04/14 10:40
昨年度、自身2度目のバロンドールを獲得したクリスティアーノ・ロナウド。しかし過去に、W杯前年度にバロンドールを受賞してW杯で優勝を手にした者は一人としていない……。
ワールドカップの開幕まで、あと数カ月――。そんなタイミングで連載コラムをはじめるのも何かの縁というわけで(?)今回からワールドカップをめぐる『6話完結』のナゾ解きを試みたいと思う。その「ナゾ」というのはいったい何なのか。
実は………この夏に開催されるブラジル・ワールドカップの優勝国が「すでに決まっている」というお話である。いや自分でも意味不明のことを申し上げているということは重々承知のうえで、重ねて申し上げてみたい(なんで?)。
優勝国は、すでに決まっている。
なぜか。ワールドカップにはあらかじめ王者を定める『法』があるからだ(という設定で話を進めていきたいと思う)。そして、この法則とやらを「1話ごと」に解説しながら候補を絞り込み、最終回にてブラジル大会の覇者を明らかにする――。そんな筋書きを企んでいるわけだ。
従って内容自体はまさに「信じるも信じないも……」といった類のものである。それにしても、なぜ『ワールドカップの法則』なるものに考えが及ぶに至ったのか。実はひとつの大いなる疑問があったからである。
ブラジルが、フランスが、アルゼンチンが散ってきた。
なぜワールドカップでは「本命」が沈むのか?
古くからのフットボール愛好家の方々には御理解いただける「不思議」だろうか。ワールドカップの長い歴史をたどっていくと「残念な本命」たちに次々と出くわしてしまう。4年前の南アフリカ大会においては本命のスペインが優勝を果たす予定調和の幕引きだったが、歴代優勝国のリストの中では数少ない例外と言っていい。
最長でも7試合で片がついてしまう短期決戦型のシステムが「運命のいたずら」を誘発する側面はあると思う。いや、それにしてもよく負けるのである、本命が。
例えば2006年ドイツ大会の本命はブラジルだった。最盛期のロナウジーニョを中心に昇り竜の勢いにあったカカとアドリアーノがいて、最前線には怪物ロナウドが健在だった。前年のコンフェデ杯も制していたから本命視されるのも道理だったが、準々決勝でジネディーヌ・ジダンを擁するフランスに敗れている。
また2002年日韓大会では連覇を狙うフランスが本命で、アルゼンチンが対抗という前評判だったが、両国そろってグループステージ敗退である。この「想定外の結末」に首をひねった人も少なくなかったように思う。さらに1998年フランス大会でも絶頂期のロナウドを抱えるブラジルが優勝候補の最右翼に推されながら、最終的にはフランスとの決勝で苦杯をなめた。