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スーパーボウル1試合でCM300億円!?
放映権料で考えるスポーツの「価値」。
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![並木裕太](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/90/img_e04b11a70f37a5ebfe8f756b8475e70c11143.jpg)
並木裕太Yuta Namiki
photograph byAP/AFLO
posted2014/02/26 16:30
![スーパーボウル1試合でCM300億円!?放映権料で考えるスポーツの「価値」。<Number Web> photograph by AP/AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/2/8/700/img_28c9659edcb856844c6ad4a54bd18972429147.jpg)
30秒CMの広告費が4億円にものぼる化け物コンテンツ、スーパーボウル。リアルタイムで観戦したい、というスポーツの特性を存分に生かしたからこそ、現在の地位がある。
翻って日本のプロ野球の状況は……?
翻って、日本のプロ野球の状況はどうか、考えてみたいと思います。
ご承知の通り、プロ野球の地上波中継は減少し、視聴率も昔のようには取れなくなっています。専門チャンネルの試合中継を、衛星放送やケーブルテレビを介して見るのが今や主流です。当然、各チームに入る放送権料は一昔前に比べて大きく減ったことになります。
こうした状況に対して、日本のプロ野球界は有効な手立てを講じていると言えるでしょうか?
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残念ながら、答えはNo。全球団の放送権を取りまとめ、マネタイズに成功したMLBに比べれば、NPBのリーグビジネスはようやく歩み始めたばかりです。MLBを参考に導入した交流戦、クライマックスシリーズなども、残念ながら十分にマネタイズされているとは言えないでしょう。本来、プロ野球がマネタイズすべき、プロ野球が作った新たな価値は、放送局に流出してしまい、プロ野球はそのほんの一部の恩恵を受けただけというのが私の評価です。
「パ・リーグTV」という歩き出した成功例。
ただ、そうした中でも、パ・リーグに限れば一歩ずつ進んでいると言えます。2007年、パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)が発足しました。PLMは6球団共同でイベントを開催したり、リーグスポンサーを獲得したりする活動のほか、インターネット放映権を一括管理し、ライブ配信システム「パ・リーグTV」として事業化することに成功しているのです。
PLMのマーケティング室長、根岸友喜さんは次のように話します。
「1球団ではできないこと、そして6球団でやることでメリットが生まれることを実現しようというのが私たちの基本理念です。
パ・リーグTVは、月980円(各球団ファンクラブ会員の場合)でパ6球団のレギュラーシーズン主催全試合とそのダイジェスト映像などを見ることができる。サービス開始から2年で、会員数は現在5万人にまで伸びてきました。PLMはその他のサービスも合わせて約13億円の売上があり、パ・リーグ6球団のファン拡大や事業拡大に貢献しています」