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スーパーボウル1試合でCM300億円!?
放映権料で考えるスポーツの「価値」。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2014/02/26 16:30

スーパーボウル1試合でCM300億円!?放映権料で考えるスポーツの「価値」。<Number Web> photograph by AP/AFLO

30秒CMの広告費が4億円にものぼる化け物コンテンツ、スーパーボウル。リアルタイムで観戦したい、というスポーツの特性を存分に生かしたからこそ、現在の地位がある。

30秒で4億円、1試合で300億円

(スーパーボウルでの広告収入)

 2月2日、NFLの年間チャンピオンを決める第48回スーパーボウルが開催されました。

 デンバー・ブロンコスとシアトル・シーホークスの対戦となった一戦は、シーホークスが43-8で圧勝。序盤から大差がつく一方的な展開になりましたが、試合中継の平均視聴率は46.4%をマーク。視聴者数は実に1億1150万人に達し、アメリカのテレビ史上最多記録を更新しました。

年間350億円の放映権、1試合で300億円の広告収入。

 これほどの注目度を誇るビッグイベントゆえ、CMの料金もケタ違いです。30秒のスポットCM枠は400万ドル(約4億円)。たった1試合の中継でテレビ局が稼ぎ出す広告収入は、昨年の実績で2億9200万ドル(約300億円)に上ります。

 NFLの放送コンテンツとしての価値の高さは、何もスーパーボウルに限ったことではありません。レギュラーシーズンの放送権は、FOX、CBS、NBCの3社がシェアしていますが、2013年まで総額19億ドル(約1900億円)だった放送権料が、今年から総額31億ドル(約3100億円)に大幅増額して更新されました(契約期間は2022年までの9年間。年間約350億円)。

 1シーズンの放映権が350億円で、スーパーボウル1試合からの広告収入だけで300億円回収です。いかにスーパーボウルが化け物イベントなのかが分かります。

放送権料の高騰は、NFLだけではなくMLBでも。

 放送権料の高騰はMLBでも顕著です。ESPNは2013年まで年間3億6000万ドル(約360億円)でMLBと契約していましたが、それを2014年から、ほぼ倍の7億ドル(約700億円)とすることで合意しました(契約期間は2021年まで)。一見、法外な値上げにも思えますが、この契約見直しを受けてESPNの親会社であるウォルト・ディズニーの株価は上昇。つまり市場は、この契約を合理的なものと判断したのです。

【次ページ】 エンターテイメント性の向上を、収益に変える。

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デンバー・ブロンコス
シアトル・シーホークス

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