プロ野球亭日乗BACK NUMBER
マー君“初体験”のメジャー流調整。
「物足りなさ」こそ、順調な証し。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2014/02/21 10:45
サバシア、黒田に続く3番手としての起用が濃厚な田中。オープン戦初登板は3月3日・ナショナルズ戦、メジャーデビューは4月3日のアストロズ戦になる見込みだ。
いまは物足りないぐらいの方がいいのだ。
ただ、田中の場合は環境がちょっと違うはずなのだ。
ヤンキースにとっても、あれだけの大金を投じて獲得した選手である。余程のことがない限り、開幕ローテーションという地位は保証されてスタートを切れる。
だからオープン戦で大切なのは、結果ではなく一定水準のボールが投げられる内容を示すこと。開幕後も最初の1、2カ月は辛抱強くクオリティースタートを目標に我慢のピッチングが続けられれば、チーム、首脳陣は長い目で見てローテーションで投げさせてくれるはずである。
やらなければならない。結果を残さなければならない。いまの田中はこんな気持ちで一杯のはずだ。そのためには今の調整方法では物足りなく感じているはずでもある。
はやる気持ちはもちろん仕方ない。
ただ、逆にいまはムリに調整のピッチを上げても、まったくお金にはならない(というかすでに契約をしているのでお金に見合った責任を果たしたことにはつながらない)。そのことをしっかり心に刻むべきだろう。
勝負は4月……いや本当は8月以降で、そこできっちり結果を残せるようにコンディションを整えることが、チームにとってもファンにとっても大金を投じて獲得した意味があるというものなのである。
だから……いまは物足りないぐらいの方がいいのである。