日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
オランダを押し込んで2-2ドロー!
甦ったザックジャパンの“2つの顔”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/17 12:10
オランダ戦で1トップに抜擢され、すべての得点に絡む活躍を見せた大迫。Jリーグでも31節終了時点で18得点を記録している。
それでも彼らがひるまなかった理由とは?
それでも彼らはひるまなかった。0-2となりながらも勝利をあきらめなかった。
前半終了間際だった。吉田麻也がガツンと体を当ててボールを奪い取ると前の長谷部にボールを送り、縦に持ち上がっていく。裏を狙っていた大迫が長谷部からのスルーパスを右足ダイレクトで合わせて1点をもぎ取り、これが反撃ののろしとなった。
「はじめは右に打とうと思ったけど(GKの動きを見て)変えた」という落ち着きぶりだった。
ここぞのタイミングで守備陣が体をぶつけてボールを奪い取り、前にポジションを取ったボランチがボールを持つと加速して縦にゴールに向かう。大迫のシュートが素晴らしかったのはもちろんだが、「積極的な守備」と「ゴールに速く向かう意識」が彼のゴールをお膳立てしたとも言える。
ひるまなかった背景には10月の欧州遠征で2連敗した危機感もある。だが、千載一遇のチャンスに燃える大迫らフレッシュな人材が先発した効果もあったように思う。
大迫は守備でも自陣まで下がってボールを奪い取り、山口は後半に入ると前に出て攻撃にも積極的に絡んでいった。アウェー試合で初先発の西川周作は確かな足元のテクニックでビルドアップに貢献していく。中2日のベルギー戦を考慮してのメンバー入れ替えではあったが、アルベルト・ザッケローニとしても流れを変えたいという意図があったのではないだろうか。
遠藤、香川が投入されると、さらに日本ペースが加速。
遠藤保仁、香川真司が投入された後半は、一気に日本ペースが加速していった。
ナイジェル・デヨングが交代したことも響いてオランダの中盤のパワーが低下。高い位置でセカンドボールを奪って押し込む時間が続き、時に裏、時にパス回しと臨機応変の攻撃がますますオランダを混乱させていった。
そして迎えた後半15分。遠藤が右サイドの内田を走らせるパスを送り、そこから岡崎、本田圭佑、内田が次々と絡んでゴールに迫り、最後は大迫のポストプレーから本田が左足をコンパクトに振って鮮やかに2点目を奪った。オランダの守備を翻弄する、素晴らしいゴールだった。
その後は完全に日本の押せ押せムード。後半33分に柿谷曜一朗が香川のスルーパスを決められないなど決定機での課題は残ったものの、高いラインをキープしながらの守備の積極性と安定、そして多彩な攻撃によってオランダにペースを引き渡さなかった。後半、危険なシーンはほぼゼロと言っていい。勝ち切れなかったとはいえ、勝利を追求する姿勢は最後まで崩れなかった。