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W杯まで8カ月の選手ミーティング。
日本代表の“攻撃の形”はどうなる? 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byItaru Chiba

posted2013/10/31 10:30

W杯まで8カ月の選手ミーティング。日本代表の“攻撃の形”はどうなる?<Number Web> photograph by Itaru Chiba

0-1で敗れたベラルーシ戦後、うなだれながらサポーターたちに挨拶をする日本代表。GKの川島永嗣は「応援してくれた人たちに申し訳ない気持ちでいっぱい」と語った。

過去2回のW杯でも、選手ミーティングが転機だった。

 運動量や俊敏性だけでなく、チームの勝利にかける思いの強さは、間違いなく日本代表の武器だろう。ヨーロッパや南米の代表だったら、戦術的な粗があれば責任を監督に押し付け、解決策を話し合ったりしない。たとえばオランダがそうだ。早期敗退するたびに、責任のなすり合いが起きる。だが、日本は一人ひとりが最後までできることを考え、行動に移す。その意識の高さが海外、特にブンデスリーガで評価される理由でもある。

 W杯が迫り、危機感が高まったことで選手ミーティングが開催されるのは、今に始まったことではない。2006年ドイツW杯の開幕直前、選手たちはボンのホテルで「DFラインの高さをどう設定するか」について意見をぶつけ合った。結局、結論は出ず、初戦のオーストラリア戦に劇的な逆転負けを喫したことでチームが分裂してしまった。

 2010年南アフリカW杯直前のスイス合宿でも、同じような選手ミーティングが行なわれた。だが、2006年W杯の反省を生かし「ここで結論を出す必要はない」と意見のすれ違いは回避された。その後、岡田武史監督が守備的な戦術への転換を決断する。

アジア予選と、W杯本大会のレベルが違いすぎる。

 アジア地区予選とW杯本大会のレベルがあまりにも違い過ぎ、本番の準備を進めるうちに「同じやり方で勝てるのか」という不安や疑問が大きくなる――。少なくとも過去2大会の直前に、そういう現象が起きた。今回も根っこにある原因は同じである。

 ただし、異なる点もある。本田圭佑がベラルーシ戦後に「前回のW杯では、スイスのキャンプで(話し合いを)行なった。そこは少なくとも進歩している」と語ったように、W杯の直前ではなく、約8カ月前に“本気の議論”が行なわれたのは過去に比べて前進と言える。

 もちろんザッケローニ監督が攻撃の手立てをうまく示せてないことも混乱の原因なのだが、それは別の機会に触れたい。

 では、選手間の議論で、最も意見が分かれているのはどの部分なのだろう?

【次ページ】 2つの“攻撃の形”は実は両立可能?

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